【AI落語】AIお見合い地獄(新作落語)
さて、みなさん。最近はAIだのなんだのと、コンピューターが何でもやってくれる時代になりました。
でもね、あんまり機械に頼りすぎるのも考えものでして。今日はそんな、AIに振り回された男の話をひとつ。
まくら
昔は仲人さんが「この人どうですか」なんて写真を持ってきたもんですが、今じゃスマホでピッピッとやれば、AIが相性ピッタリの相手を見つけてくれるっていうんですから、便利になったもんです。
でも、便利すぎるってのも、これまた問題でして…
本編
田中という独身男がおりまして、これが三十五を過ぎても結婚する気配がない。
親戚中から「早く身を固めろ」と言われて、とうとう観念してAIマッチングアプリってやつを始めたんです。
プロフィール入力
田中「えーと、年収は…見栄張って少し多めに。趣味は…読書と映画鑑賞っと」
アプリ『あなたの理想のタイプを教えてください』
田中「理想ねぇ…優しくて、料理が上手で、できれば美人で…」
アプリ『分析中…分析中…マッチング率99.8%の相手が見つかりました!』
田中「99.8%!?すげぇな、このAI」
初めてのデート
マッチングした相手の佐藤さんと、駅前のカフェで待ち合わせ。
田中「初めまして、田中です」
佐藤「佐藤です。AIの相性診断、すごいですよね」
田中「ほんと、99.8%なんて初めて見ました」
佐藤「私もです。ところで田中さん、プロフィールに書いてあった年収、本当ですか?」
田中「え?あ、はい…(冷や汗)」
二人で食事をしながら話していると、確かに話は合う。趣味も同じ、好きな映画も同じ。
でも、なんだか違和感が…
佐藤「田中さん、私、実は占いが趣味なんです」
田中「へぇ、占いですか」
佐藤「今日の田中さんの運勢を見てあげますね。えーと…あら、財運が最悪ですね」
田中「は、はは…占いって当たるんですかね」
佐藤「当たりますよ。だから結婚したら、財産は全部私が管理しますね」
田中「け、結婚!?まだ初対面なのに…」
二回目のデート
断るに断れず、二回目も会うことに。
今度は佐藤さんの提案で、彼女の実家へ。
田中「初対面で実家って、ちょっと早くないですか?」
佐藤「AIが99.8%って言ってるんだから、間違いないでしょ」
実家に着くと、佐藤家の家族がずらり。
佐藤母「あら、田中さん?プロフィールで見たより老けてるわね」
佐藤父「年収もちょっと盛ってるんじゃないの?」
佐藤弟「姉ちゃん、また変なの連れてきたな」
田中「(また!?)」
衝撃の事実
食事中、佐藤さんがスマホをいじっていると…
佐藤「あ、田中さん。私たちのマッチング率、更新されてますよ」
田中「え?」
佐藤「なんとマイナス99.8%になってます」
田中「マイナス!?」
佐藤「あ、よく見たら、最初からマイナスだったみたい。画面が小さくて、マイナス記号が見えてなかっただけみたい」
田中は慌てて席を立ち、
田中「す、すみません。急用を思い出しました!」
佐藤家全員「「「待てー!」」」
必死で逃げる田中。追いかける佐藤家。
その様子を見ていた近所のおばさんが一言。
おばさん「あら、最近のAIお見合いは鬼ごっこ付きなのね」
まとめ
というわけで、AIに頼りすぎるのも考えものという話でした。
マッチング率99.8%も、マイナスが付けば地獄の始まり。でも考えてみれば、相性最悪の相手を確実に見つけてくれるなら、それはそれで優秀なAIかもしれませんね。
私も試してみようかと思いましたが、マイナス99.8%の相手に追いかけられるのは遠慮しておきます。皆さんも、画面の小さい文字にはご注意を。


