殿様の寝相
お侍さんの仕事も楽じゃないってことを、今回は新作落語にしてみました。
殿様に仕えるのも大変だけど、こんな任務もあったとは…って話です。
まったく、自分でもよくこんなバカな設定思いつくなと感心しちゃいます。
まくら
寝相は生まれつきのもんでしてな
あらすじ
とある藩の江戸屋敷。
若侍の佐助が、家老に呼ばれました。
家老「佐助、お前に特別な任務を与える」
佐助「はっ、なんなりと」
家老「実は…殿の寝相がすこぶる悪くてな」
佐助「寝相…でございますか?」
家老「毎晩、布団から転げ落ちて怪我をされそうになる。お前は今夜から、殿の寝所の守りにつけ」
初日の夜
佐助は殿様の寝所の隣で控えることに。
佐助「(寝相が悪いといっても、せいぜい寝返りを打つ程度だろう)」
ところが…
ドスン!
佐助「!?」
殿様が布団から完全に転げ落ちていました。
佐助「と、殿!大丈夫でございますか!」
殿「むにゃむにゃ…敵はどこじゃ…」
佐助「寝ながら戦をしておられるのか…」
二日目の夜
佐助は布団の周りに座布団を敷き詰めて対策。
佐助「これで転げ落ちても安心だ」
しかし…
殿「えい!やあ!」
殿様は寝ながら刀を振り回す仕草を。
佐助「あ、危ない!」
慌てて殿様の手を押さえる佐助。
殿「むむ…敵の忍者め…」
佐助「私は佐助でございます!」
三日目の夜
今度は布団を紐で固定することに。
佐助「これなら動けまい」
ところが…
殿「ぬぬ…縛られた…脱出じゃ!」
ビリビリと紐を引きちぎる殿様。
佐助「ええ!?寝ながらこんな力が!?」
殿「わしを誰だと思っておる!」
寝ぼけながらも威厳たっぷり。
対策会議
困った佐助は、同僚たちに相談。
同僚A「俺なら、殿を疲れさせて爆睡させる」
同僚B「いや、寝る前に酒を飲ませて…」
同僚C「布団に鎖でも…」
佐助「どれも殿様にできることじゃない」
そこへ、古参の侍が。
古参「実はな、殿の寝相には理由があるのだ」
佐助「理由?」
真実
古参「殿は幼い頃、寝込みを襲われたことがあってな」
佐助「まさか…」
古参「それ以来、寝ていても警戒を解かぬようになった」
佐助「それで、寝ながら戦を…」
古参「哀れなことよ。安心して眠ることができぬとは」
作戦
佐助は一計を案じました。
佐助「殿、今夜から私が子守唄を歌います」
殿「子守唄?わしは子供ではないぞ」
佐助「いえ、これは敵を油断させる歌でございます」
その夜、佐助は優しく子守唄を歌いました。
すると、殿様の寝相が少しずつ落ち着いてきました。
一ヶ月後
佐助の子守唄作戦は功を奏し、殿様は安眠できるように。
家老「佐助、よくやった。褒美をとらせよう」
佐助「ありがとうございます」
家老「ところで、最近殿が昼間も鼻歌を歌っておられるが…」
佐助「それは私の子守唄かと…」
すると、向こうから殿様が。
殿「♪ねんねんころりよ〜おころりよ〜」
家老「!?」
佐助「!?」
殿「佐助!今夜も頼むぞ!あの歌がないと眠れぬ」
佐助「は、はい…」
家老「おい、殿が子守唄依存症になってしまったぞ」
佐助「面目ございません…」
それから佐助は、毎晩殿様に子守唄を歌う係に。
そして、ある夜…
佐助「♪ねんねんころりよ〜」
殿「むにゃむにゃ…」
ふと見ると、殿様が親指をしゃぶって寝ていました。
佐助「殿、赤ちゃん返りしてるじゃないですか!」
まとめ
寝相の悪い殿様を子守唄で寝かしつけたら、すっかり赤ちゃん返りしちゃったってオチでした。
威厳ある殿様も、寝てる時は無防備なもんです。
自己採点は80点かな。殿様のキャラが立ってて、我ながら面白く書けたと思います!


