カラオケの歌声
飲み屋でのカラオケは楽しいものですが、時として客同士のトラブルの原因にもなります。
今回は、カラオケの歌声を巡る客同士の喧嘩を大正時代風の言葉でお届けします。
音痴な歌声というのは、聞く人によっては苦痛になってしまうものですね。
歌声が招く客同士の争い
飲み屋でカラオケを歌う客の歌声に文句をつける客との喧嘩のお話です。
あらすじ
大正時代風の飲み屋で、一人の客がカラオケを歌っていた。
客A「♪さくらんぼの実る頃〜」
隣の席の客Bが顔をしかめた。
客B「おい、あんた」
客A「♪君を思い出す〜」
客B「おい、聞こえないのか」
客A「♪あの日のことを〜」
客B「おい!」
客Aが振り返った。
客A「なんでございますか」
客B「あんたの歌、うるさい」
客A「うるさい?」
客B「そうだ、音痴で聞いてられない」
客A「音痴?」
客B「そうだ、音痴だ」
客A「音痴とは失礼な」
客B「失礼も何も、事実だ」
客A「事実?」
客B「そうだ、あんたの歌は音痴だ」
客A「音痴ではございません」
客B「音痴だ」
客A「音痴ではございません」
客B「音痴だって言ってるだろ」
客A「音痴ではないと言っております」
客B「音痴だ」
二人は立ち上がった。
親父「お二人とも、どうなさいました」
客A「親父さん、この方が私の歌を音痴だと」
親父「音痴?」
客B「そうだ、音痴だ」
親父「でも、お客さんの歌、上手でしたよ」
客A「上手?」
親父「はい、とても上手でした」
客B「上手?あんな音痴が?」
親父「音痴?」
客B「そうだ、音痴だ」
親父「でも、綺麗な歌声でしたが」
客A「綺麗?」
親父「はい、とても綺麗でした」
客B「綺麗?あんな汚い声が?」
親父「汚い声?」
客B「そうだ、汚い声だ」
親父「でも、女性の歌声でしたよ」
客A「女性?」
親父「はい、女性の歌声でした」
客B「女性?」
親父「はい」
客A「私は男でございますが」
親父「男?」
客A「はい、男でございます」
親父「でも、女性の歌声が聞こえましたが」
客B「女性の歌声?」
親父「はい」
客A「私が歌っておりました」
親父「あなたが?」
客A「はい」
親父「でも、女性の歌声でしたよ」
客B「女性の歌声?」
親父「はい、とても綺麗な女性の歌声でした」
客A「私の歌声でございます」
親父「あなたの?」
客A「はい」
親父「でも、あなたは男性でしょう」
客A「はい、男性でございます」
親父「男性なのに、女性の歌声?」
客A「はい」
親父「どういうことでございますか」
客A「実は、私、のど自慢で優勝したことがあるのでございます」
親父「のど自慢?」
客A「はい、女性の歌を歌うのが得意なのでございます」
親父「女性の歌?」
客A「はい」
客B「女性の歌?」
客A「はい」
客B「それで、女性の歌声に聞こえたのか」
客A「そうでございます」
客B「そうか、音痴じゃなかったのか」
客A「はい、音痴ではございません」
客B「すまなかった」
客A「いえいえ」
親父「よかった、よかった」
客B「でも、男が女性の歌を歌うなんて」
客A「何か問題でも?」
客B「いや、問題ないが」
客A「では、もう一曲歌わせていただきます」
客B「お願いします」
客A「♪津軽海峡冬景色〜」
客B「おい、今度は石川さゆりかよ」
親父「このお客さん、カラオケじゃなくて、から(空)おけ(桶)ですな」
客B「から桶?」
親父「はい、中身が空っぽの桶みたいに、男なのに女性の歌声が出る不思議なお客さんですから」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
飲み屋での客同士の喧嘩を、カラオケの歌声を巡る争いとして大正時代風の言葉で表現してみました。
オチの「カラオケ」と「から桶(空っぽの桶)」をかけた言葉遊びです。
男性なのに女性の歌声で歌うという特技を持つ客の設定が面白く描けたでしょうか。
今回は72点くらいでしょうか。


