のっぺらぼうと鏡屋
鏡は自分の顔を映すものですが、顔がない妖怪が鏡屋で働いたらどうなるでしょうか。
今回は、そんなのっぺらぼうが鏡屋で働くという話をお届けします。
のっぺらぼうと鏡の組み合わせなんて、考えただけでも色々と哲学的な問題が起きそうですが、案の定という展開になりました。
顔がない妖怪の就職活動
顔がないのっぺらぼうが、鏡屋で働くことになったお話です。
あらすじ
顔がないのっぺらぼうが、就職活動をしていた。
のっぺらぼう「顔がないと、なかなか仕事が見つからねぇ」
そんな時、鏡屋の店主が人手不足で困っていた。
店主「誰でもいいから、働いてくれる人はいないかなぁ」
のっぺらぼう「あの、働かせてもらえませんか」
店主「あんた、顔が…」
のっぺらぼう「はい、のっぺらぼうです」
店主「まぁ、人手不足だし、働いてもらうか」
のっぺらぼう「ありがとうございます」
早速、のっぺらぼうは鏡屋で働き始めた。
ところが、お客さんがやってきて、鏡を見ていると、変なことが起きた。
客「あの、この鏡、なんか変です」
のっぺらぼう「どうしました?」
客「あなたの顔が鏡に映ってないんです」
のっぺらぼう「あぁ、すみません。俺、顔がないもんで」
客「顔がない?」
のっぺらぼう「はい、のっぺらぼうです」
客「それじゃあ、この鏡で自分の顔を見ても、隣に立つあなたの顔が映らないということですね」
のっぺらぼう「そうなります」
客「なんだか、鏡が壊れているみたいで不気味です」
そのお客さんは、鏡を買わずに帰ってしまった。
次のお客さんも、同じような反応。
客「この鏡、片方だけ映らないんですか?」
のっぺらぼう「いえ、俺に顔がないだけです」
客「そんなバカな」
のっぺらぼう「本当です」
客「じゃあ、あなたは鏡を見ても何も映らないんですか?」
のっぺらぼう「そうです」
客「それじゃあ、鏡屋で働く意味がないじゃないですか」
のっぺらぼう「そう言われると、そうですね」
三番目のお客さんは、手鏡を買いに来た。
客「手鏡を見せてください」
のっぺらぼう「はい、こちらです」
客「ちょっと映り具合を見てもいいですか?」
客が手鏡を見ると、自分の顔は映るが、隣に立つのっぺらぼうは映らない。
客「やっぱり、あなたが映らないと、鏡の性能がよくわからないです」
のっぺらぼう「すみません」
結局、その日はお客さんが誰も鏡を買わずに帰ってしまった。
店主「のっぺらぼうさん、申し訳ないけど、鏡屋の仕事はあんたには向いてないようだね」
のっぺらぼう「そうですね」
店主「だって、鏡屋で働くのに、のっぺら(面)ぼうじゃあ、のっぺり(のっぺらぼう)しすぎて商売にならないよ」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
顔がない妖怪が鏡屋で働くことの矛盾を、江戸言葉で表現してみました。
オチの「のっぺらぼう」と「のっぺりしすぎる」をかけた言葉遊びは、ちょっと強引だったかもしれませんが、のっぺらぼうと鏡屋の組み合わせの面白さが伝わったでしょうか。
今回は72点くらいでしょうか。


