金庫迷子其の二
前回金庫の中に住み着いた番頭が、今度は住環境の改善に取り組みます。
でも、改装工事が行き過ぎると、思わぬ問題が発生してしまいます。
住みやすさを追求した結果、出られなくなってしまうなんて、本末転倒ですね。
金庫の中の豪華改装
住み心地を良くしようと改装を始めた番頭。
でも、やりすぎると、今度は別の問題が発生してしまいます。
あらすじ
前回金庫の中に住み着いた番頭が、住環境の改善を考えていた。
番頭:「金庫の中も、もう少し住みやすくしたい」
主人:「住みやすく?」
番頭:「はい、畳を敷いて、ちゃんとした部屋にしたいんです」
主人:「畳?」
番頭:「それに、障子も付けて、床の間も作って」
主人:「だいぶ豪華になりますね」
番頭:「せっかく住むなら、いい部屋にしたいです」
主人:「分かりました、改装費用は店で持ちましょう」
—
番頭は金庫の中の改装を始めた。
番頭:「まず、畳を敷いて」
大工:「金庫の中に畳?変わった注文ですね」
番頭:「それから、障子を付けて」
大工:「障子も?」
番頭:「床の間も作って、掛け軸も飾りたいです」
大工:「だいぶ豪華になりますね」
番頭:「はい、せっかくですから」
—
改装工事が進むにつれて、番頭の要求はエスカレートしていった。
番頭:「やっぱり、違い棚も欲しいです」
大工:「違い棚も?」
番頭:「それから、庭も作ってください」
大工:「庭?金庫の中に?」
番頭:「小さい庭でいいです」
大工:「でも、金庫の中に庭って」
番頭:「坪庭みたいなものです」
—
一ヶ月後、金庫の中は豪華な住居になった。
番頭:「完成しました」
主人:「見事な出来栄えですね」
番頭:「畳に障子、床の間に違い棚、庭まで付いてます」
主人:「本当に豪華だ」
番頭:「これで快適に住めます」
主人:「でも、出入りは大丈夫ですか」
番頭:「出入り?」
主人:「金庫から出る時に」
—
番頭:「そういえば、出入り口はどこでしたっけ」
主人:「え?」
番頭:「改装で、出入り口が分からなくなりました」
主人:「分からなくなった?」
番頭:「障子ばかりで、どれが出入り口か」
主人:「困りましたね」
番頭:「全部同じに見えます」
主人:「どうしましょう」
—
番頭は金庫の中で出入り口を探した。
番頭:「この障子かな」
壁だった。
番頭:「じゃあ、この障子は」
これも壁だった。
番頭:「全部壁?」
主人:「(外から)番頭さん、大丈夫ですか」
番頭:「出られません」
主人:「え?」
番頭:「どこが出入り口か分からないんです」
—
主人は大工を呼んだ。
主人:「番頭が出られなくなりました」
大工:「出られない?」
主人:「出入り口が分からないそうです」
大工:「困りましたね」
主人:「どうすれば」
大工:「金庫を開けて、中を確認するしかないですね」
主人:「金庫を開けるには、番頭に開けてもらわないと」
大工:「でも、番頭は中にいるんでしょう」
—
結局、番頭は金庫の中で生活することになった。
番頭:「出られませんが、住み心地は最高です」
主人:「でも、仕事はどうするんですか」
番頭:「金庫の中から指示を出します」
主人:「指示?」
番頭:「金庫の番は完璧にできます」
主人:「それは確かに」
番頭:「誰も金庫に近づけません」
—
番頭の豪華な金庫が評判になった。
見物人:「金庫の中に豪華な住居があると聞いて」
主人:「はい、番頭が住んでます」
見物人:「見学できますか」
主人:「番頭さん、見学者がいます」
番頭:「(中から)どうぞ、見学料は一人十文です」
見物人:「見学料?」
主人:「番頭が住んでる金庫御殿です」
—
結局、番頭の金庫は観光名所になった。
番頭:「金庫迷子から、金庫御殿の主人になりました」
主人:「見学料も入るし、いい商売になりましたね」
番頭:「でも、やっぱり外に出たいです」
主人:「出る方法を考えましょう」
番頭:「でも、この生活も悪くないです」
見物人:「今日も見学お願いします」
番頭:「毎度あり、金庫御殿へようこそ」
まとめ
金庫の中を豪華にしすぎて、出入り口が分からなくなってしまった番頭。
でも、それが観光名所として成功してしまいました。
住環境の改善も、やりすぎると思わぬ結果を招くという話でした。


