病気見舞い縁談
今回も懲りずに新作落語でございます。
病気見舞いと縁談という、なんとも微妙な組み合わせを選んでしまいました。
まあ、聞くだけならタダですから、お付き合いください。
縁談相手が病気見舞いに
あらすじ
日本橋の呉服問屋の娘、お花が風邪をこじらせて寝込んでいた。
母:「お花、薬は飲んだかい」
お花:「はい、お母様。でも熱が下がりません」
母:「困ったねえ。実は今日、縁談の相手の若旦那が挨拶に来ることになってたんだよ」
お花:「えっ、そんな話聞いてません」
母:「だって、あんたが元気な時に言ったら、絶対逃げるでしょ」
—
そこへ、縁談相手の若旦那、清吉がやってきた。
清吉:「ごめんください。約束の時間に参りました」
母:「あら、清吉さん。実は娘が風邪で寝込んでまして」
清吉:「それは心配ですな。よろしければお見舞いさせていただけませんか」
母:「まあ、優しい方。でも風邪がうつるといけませんよ」
清吉:「なに、私は体が丈夫ですから。それに、これも何かの縁です」
—
清吉は病室に入ると、お花の看病を始めた。
清吉:「お嬢さん、お加減はいかがですか」
お花:「あの、どちら様でしょうか」
清吉:「申し遅れました。私、縁談の…いや、ただのお見舞いの者です」
お花:「そうですか…ゴホゴホッ」
清吉:「おや、咳がひどいですな。私が薬を煎じ直しましょう」
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清吉は甲斐甲斐しく看病を続けた。
額の汗を拭いたり、薬を飲ませたり、本を読んで聞かせたり。
お花:「清吉さん、そんなに近くにいたら風邪がうつりますよ」
清吉:「いえいえ、お嬢さんが元気になるまでは離れません」
お花:「でも、もう三時間もずっと…」
清吉:「愛…いや、看病に時間は関係ありません」
—
翌日、母が様子を見に来ると、二人とも布団に寝込んでいた。
母:「あら、どうしたの」
清吉:「申し訳ございません…風邪をもらってしまいました」
お花:「私のせいです…ゴホゴホッ」
清吉:「いえ、私が勝手に…ゴホゴホッ」
母:「二人して咳の掛け合いしてる場合じゃないでしょ」
—
医者:「これは重症ですな。二人とも一週間は安静に」
母:「縁談の話はどうなるんです」
医者:「縁談?この状態じゃ、当分は無理でしょうな」
清吉:「でも…ゴホッ…これで…ゴホッ…気が合うことは…ゴホッ…分かりました」
お花:「ええ…ゴホッ…咳のタイミングまで…ゴホッ…ぴったりです」
二人:「ゴホゴホゴホッ!」
母:「咳で意気投合されても困るんですけど」
まとめ
病気見舞いで風邪をうつされて、二人とも寝込んでしまうという、なんとも情けない話でした。
でも、「咳の相性がいい」なんて理由で結ばれるカップルがいてもいいじゃないですか。
…いや、やっぱりダメですね。
次はもっとロマンチックな話を考えます。たぶん無理ですが。


