旅行の金庫
旅行と金庫の組み合わせで一席。
心配性の旅行者
「今度、伊勢参りに行くんだが、お金が心配だ」
「泥棒に取られでもしたら大変だからな」
「そうだ、金庫を持っていこう」
大商人の源兵衛は、金庫ごと旅行に持参することにした。
あらすじ
「おい、その金庫を駕籠に積んでくれ」
「旦那、この金庫は重すぎます」
「何を言ってる。大事な金だぞ」
「でも、駕籠が壊れてしまいます」
「じゃあ、担いで行く」
「担ぐって、誰が担ぐんですか」
「お前たちだ」
「そんな無茶な」
—
出発当日
「よし、出発だ」
供の者三人がかりで金庫を担ぐ。
「重い…」
「もう歩けません」
「何を弱気なことを」
「旦那、この金庫、何が入ってるんですか」
「大判小判に、銀貨に、銅銭に…」
「全部入ってるんですか」
「当然だ」
—
一里も歩かないうちに
「旦那、休憩させてください」
「まだ出発したばかりじゃないか」
「でも、もう限界です」
「情けない奴らだ」
「旦那も少し持ってください」
「何を言ってる。わしは旦那だぞ」
「でも、三人では無理です」
—
道端で相談
「どうしよう、この金庫」
「こんなに重いとは思わなかった」
「馬車を雇いますか」
「馬車代がもったいない」
「でも、このままでは進めません」
「そうだ、金庫を軽くしよう」
「軽くするって?」
「お金を減らすんだ」
—
お金を減らす作戦
「この大判は置いていこう」
「でも、それじゃ意味がないでしょう」
「じゃあ、銀貨を減らそう」
「それも同じです」
「困ったな」
「旦那、そもそも何でこんなにお金を持っていくんですか」
「お伊勢参りには、お金がかかるんだ」
「そんなにかかりませんよ」
—
宿場町で
「宿の主人、金庫を預かってもらえないか」
「金庫?」
「旅行中だけでいいから」
「はあ…」
「謝礼は払う」
「でも、そんな大きな金庫は…」
「頼む」
「わかりました」
—
身軽になって
「ああ、身軽になった」
「これで普通に旅行できますね」
「そうだな」
「でも、お金は大丈夫ですか」
「必要な分だけ持ってきた」
「最初からそうすればよかったのに」
「まあ、勉強になった」
—
伊勢神宮で
「ああ、お伊勢さんに着いたな」
「お疲れ様でした」
「金庫を持ってこなくて良かった」
「そうですね」
「お参りもできたし、お金も足りた」
「当然です」
「やっぱり、旅行は身軽が一番だな」
—
帰り道
「そういえば、金庫はどうしますか」
「そうだ、取りに行かないと」
「また担ぐんですか」
「うーん…」
「今度は駕籠を雇いましょう」
「そうだな」
「最初からそうしてれば」
「言うな」
—
宿場町で金庫を受け取り
「ありがとうございました」
「いえいえ」
「おかげで楽しい旅行ができました」
「そうですか」
「でも、この金庫、どうやって持ち帰りましょう」
「駕籠を雇えばいいでしょう」
「そうですね」
「最初からそうすればよかったのに」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
心配性の商人が金庫を持って旅行に行く話でした。
結局、身軽が一番という、当たり前の結論になりました。
自分で作っておいて何ですが、最初から必要な分だけ持っていけば済む話でしたね。
でも、心配性の人の気持ちもわかります。
「備えあれば憂いなし」とは言いますが、度が過ぎると逆に困ってしまうという教訓でした。


