初詣の迷い神
初詣と迷子の組み合わせで一席。
新年らしい話題を選んでみました。
方向音痴の初詣
江戸の町人、源助は極度の方向音痴。
正月の初詣でも、必ず道に迷ってしまう。
あらすじ
「女房、今年も商売繁盛を祈願しに、恵比寿神社に行ってくる」
「気をつけて行ってくださいね」
「大丈夫だよ。道はわかってる」
「本当に大丈夫ですか」
「何度も行ったことがある」
実は、毎年違う神社に着いている。
—
道に迷い始める
「さて、恵比寿神社は確かこっちだったな」
歩いていると、だんだん道がわからなくなってくる。
「あれ?この道、こんなに細かったっけ」
「まあ、いいか。神社に着けばわかるだろう」
さらに歩き続ける。
—
最初の神社に到着
「おお、着いた着いた」
大きな鳥居が見える。
「さすが恵比寿神社だ」
実は、縁結びで有名な神社だった。
「今年も商売繁盛をお願いします」
他の参拝客が不思議そうに見ている。
「あの人、縁結びの神社で商売繁盛を祈ってるよ」
「変わった人だねえ」
—
帰り道でも迷う
「さて、帰ろうか」
また道に迷い始める。
「あれ?来た道と違うな」
「でも、神社は神社だから、どこも同じだろう」
歩いていると、また別の神社が見える。
「ついでに、もう一つお参りしていこう」
—
二番目の神社
「ここは…えーっと」
実は、商売繁盛で有名な神社。
「まあ、どこの神社でも同じだろう」
「今年はいい縁に恵まれますように」
今度は商売の神社で縁結びを祈願。
周りの商人たちが驚いている。
「あの人、商売の神社で縁結びを祈ってるぞ」
「面白い人だな」
—
三番目の神社
「お、また神社があるじゃないか」
「今日は運がいいな」
実は、学問の神社。
「えーっと、今度は何を祈ろうか」
「そうだ、健康祈願にしよう」
学問の神社で健康祈願。
「うちの子供の成績が上がりますように」
「あの人、何を祈ってるんだろう」
—
ようやく帰宅
「ただいま」
「お疲れ様。恵比寿神社はどうでした?」
「今年は特に立派だったよ」
「そうですか」
「それに、今日は運がよくて、三つの神社にお参りできた」
「三つも?」
「そうだ。いろんな神社があるもんだな」
—
翌日、近所の人との会話
「源助さん、昨日は初詣でしたね」
「ああ、恵比寿神社に行ったよ」
「恵比寿神社?」
「そうだ」
「でも、昨日縁結びの神社で源助さんを見かけましたよ」
「え?」
「商売繁盛を祈ってましたね」
「そうだったかな」
—
だんだん発覚
「源助さん、商売の神社でも見かけましたよ」
「そうだったかな」
「縁結びを祈ってましたね」
「あれ?」
「学問の神社でも見かけました」
「そうだったっけ」
「健康祈願をしてましたね」
「うーん…」
—
真実が判明
「源助さん、もしかして道に迷ったんじゃないですか」
「そうかもしれない」
「恵比寿神社には行ってないでしょう」
「そうか、それで神社の様子が違ったのか」
「でも、三つの神社にお参りしたから、ご利益は三倍ですね」
「そうだな」
「商売繁盛と縁結びと健康祈願ですね」
「全部違う神社だったのか」
—
一か月後
「源助さん、商売の調子はどうですか」
「おかげさまで、とても良いよ」
「それに、息子さんに良い縁談が来たとか」
「そうなんだ」
「体調も良さそうですね」
「ああ、毎日元気だよ」
「やっぱり、三つの神社のご利益ですね」
「そうかもしれない」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
方向音痴の源助さんが、道に迷って三つの神社にお参りしてしまう話でした。
結果的に、全部のお祈りが叶ってしまうという、なんとも都合の良い展開になりました。
自分で作っておいて何ですが、これは「人間万事塞翁が馬」ということでしょうか。
道に迷ったおかげで、かえって良い結果になったという、めでたい話でした。
来年も道に迷ってしまいそうですが、それもまた一興ですね。


