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【AI落語】携帯電話の粗忽(新作落語)

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携帯電話の粗忽
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携帯電話の粗忽

平成も十年が過ぎた頃、携帯電話というものが世の中に広まり始めました。ところがこの便利な道具、使い方を間違えると大変な騒動を起こすものでございます。特に粗忽者の手にかかると、便利どころか迷惑千万な代物に早変わり。今日お話しするのは、そんな平成の粗忽者が携帯電話で巻き起こした、笑うに笑えない珍騒動でございます。

携帯電話なんてもんはな

「やい与太郎、てめぇもとうとう携帯電話ってやつを買ったのかい」
「へへっ、親分。時代の波に乗り遅れちゃいけませんからね」
「ふーん、随分と小せぇもんだな。これで本当に話ができるのかい?」
「当たり前ですよ。見てくださいよ、こうやってボタンを押して…」

ピッピッピッ

「おお、鳴ったじゃねぇか」
「でしょ? 便利なもんでさ。どこにいても連絡が取れるんです」
「そいつは便利だ。ところで与太郎、そいつはどこに繋がるんだい?」
「へ? どこにって…」
「だから、今押した番号はどこに繋がるんだよ」
「あー、それがですね…実は覚えてないんです」
「覚えてない?」
「番号が多すぎて、どの番号がどこに繋がるか…」

プルルルル…

「おや、出たじゃねぇか」
「もしもし、どちら様でしょうか?」
『はい、消防署です』
「ぎゃー!」

与太郎、慌てて電話を切る。

「おい与太郎、今のは何だい?」
「消防署でした…」
「消防署? てめぇ、119番を押したのか?」
「わ、わかりません。適当に押しただけで…」
「適当って、おい!」

またピッピッピッと押す与太郎。

プルルルル…

『はい、警察です』
「うわー!」

また慌てて切る。

「今度は警察かよ」
「すんません親分、どうも110番を押しちまったみたいで…」
「馬鹿野郎! そんな適当に押すもんじゃねぇ!」
「でも親分、この携帯電話の説明書、漢字ばっかりで読めないんです」
「読めないって…おい、これは『携帯電話取扱説明書』って書いてあるじゃねぇか」
「『けいたい』は読めるんですが、『取扱説明書』が…」
「『とりあつかいせつめいしょ』だよ」
「とりあつかい…せつめい…あー、鳥を扱う説明書ですね!」
「違ぇよ!」

またピッピッピッ

プルルルル…

『時報です。午後3時をお知らせします…』

「あ、今度は大丈夫でした」
「時報じゃねぇか。金がかかるぞ、それ」
「え? お金がかかるんですか?」
「当たり前だろ。電話ってのは使った分だけ料金がかかるんだ」
「そうなんですか…じゃあ今までの分は?」
「消防署と警察と時報か…結構な金額だな」
「うぇー、そんなに?」

そこへ、与太郎の母親がやってきた。

「与太郎や、携帯電話買ったって聞いたよ」
「あ、おっかさん」
「便利になったねぇ。今度から連絡はその携帯にかけるからね」
「え? でもおっかさん、この携帯の番号分からないんです」
「分からない? 自分の番号を知らないの?」
「説明書に書いてあるんでしょうけど、読めなくて…」
「まったく、情けない子だね」

母親、説明書を取り上げる。

「どれどれ…あら、これは確かに難しいねぇ」
「でしょ? 漢字ばっかりで」
「でも与太郎や、これ『取扱説明書』じゃなくて『鳥説明書』って書いてあるよ」
「え?」
「『携帯電話』じゃなくて『軽い電話』って…」

親分、説明書を見る。

「おいおい、これは説明書じゃねぇぞ」
「え?」
「『軽い電話の鳥説明書』…なんだこりゃ?」
「あの…実は、この携帯電話、中古で買ったんです」
「中古?」
「秋葉原で、『軽くて便利な電話』って言われて…」
「秋葉原って、あの電気街の?」
「はい。でも安かったんです。千円で」
「千円? 携帯電話が千円?」

親分、携帯電話をよく見る。

「おい与太郎、これ本当に携帯電話か?」
「え? そうですよ。ちゃんと電話できるじゃないですか」
「いや、でもこれ…」
「何ですか?」
「これ、電卓じゃねぇか?」

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