傘の手紙
まくら
最近はビニール傘ばかりで、立派な傘を持つ人が少なくなりましたね。
私が子供の頃は、傘は大切なもので、名前を書いたり、目印をつけたりしたものです。
でも、そんな大切な傘でも、急な雨で借りることはありますよね。
今日は、そんな傘にまつわるお話です。
あらすじ
ある雨の日、田中は急な雨に降られて、近所の山田さんから傘を借りました。
次の日、傘を返しに行こうとしたら、山田さんは留守でした。
仕方なく、傘を玄関に置いて、お礼の手紙を書くことにしました。
田中「えーと、『昨日は傘をお借りして、ありがとうございました』と…」
そこへ、奥さんがやってきました。
奥さん「あら、何を書いてるの?」
田中「山田さんに、傘を借りたお礼の手紙を書いてるんだ」
奥さん「まぁ、律儀ね。でも、傘って書き方、これで合ってる?」
田中「え?どれどれ…あ、本当だ。なんか変だな」
奥さん「これじゃ『笠』じゃない?頭にかぶる方の」
田中「あ、そうか!傘は雨傘の傘だ」
慌てて書き直そうとしたら、インクがこぼれて手紙が真っ黒に。
田中「あーあ、せっかく書いたのに」
奥さん「もう一回書けばいいじゃない」
田中「そうだな。えーと、『昨日は傘をお借りして…』」
奥さん「ちょっと待って、それ、また『笠』になってるわよ」
田中「え?本当だ。なんで俺、『笠』って書いちゃうんだろう」
奥さん「疲れてるんじゃない?」
田中「そうかもしれない。よし、今度こそ…」
三度目の正直で、やっと正しく書けました。
田中「できた!これで完璧だ」
手紙を山田さんの家のポストに入れて、帰ってきました。
次の日、山田さんが訪ねてきました。
山田「田中さん、手紙ありがとう。でも…」
田中「何か問題でも?」
山田「いや、お礼を言いたくて。立派な笠をいただいて」
田中「え?笠?」
山田「玄関に置いてあったでしょう?」
田中「いや、あれは傘を返したつもりで…」
山田「傘?でも手紙には『笠をお返しします』って」
慌てて手紙を見せてもらうと、確かに『笠』と書いてありました。
奥さん「あなた、結局また間違えたのね」
でも山田さんは、玄関に置いてあったのが、田中が以前なくした麦わら帽子だったのです。


