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【古典落語】崇禅寺馬場 あらすじ・オチ・解説 | 怠け者が盗っ人デビュー!紋付袴で追いはぎ大失敗の傑作劇

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話芸の殿堂-古典落語-崇禅寺馬場
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崇禅寺馬場

3行でわかるあらすじ

怠け者の喜ィ公が働かずに食べる方法を求めて甚兵衛に相談し、盗っ人の手下になる。
開業式だと勘違いして紋付袴で現れ、崇禅寺馬場で追いはぎを試みる珍事の連続。
最初の旅人は成功するが、三度飛脚に返り討ちにあって「馬場じゃ、返り討ち」とオチる。

10行でわかるあらすじとオチ

怠け者の喜ィ公が甚兵衛に「寝てて食われる方法はないか」と相談に来る。
甚兵衛は最初狼に食われる冗談を言うが、実は自分が盗っ人だと明かし手下にする。
その夜、喜ィ公は開業式だと勘違いして紋付袴で現れる珍事を起こす。
甚兵衛は黒い筒袖に着替えさせ、「盗っ人が入らないように」戸締りして出発。
崇禅寺馬場で追いはぎをする計画で、甚兵衛が威嚇の口上を教える。
喜ィ公は口上を覚えられず四、五日待ってほしいとぐずぐず言う始末。
最初の旅人が通りかかると、喜ィ公はガタガタ震えてわけのわからない口上を並べる。
甚兵衛が出て来て見事に旅人を身ぐるみ剥ぎ、一度目は成功する。
次に三度飛脚がやって来るが、旅慣れしており逆に二人を取り押さえて丸裸にする。
甚兵衛「こら、張った場所が悪かったわい。崇禅寺馬場じゃ、返り討ちにあった」と地口オチ。

あらすじ

怠け者の喜ィ公が甚兵衛さんの家へやってくる。
喜ィ公 「甚兵衛はん、寝てて食われるというようなこと、でけまへんやろか」

甚兵衛 「それやったら、弁当持って池田の裏山へでも行て、弁当食うて、山の中で寝てたらええ」

喜ィ公 「ほなら、どうなります?」

甚兵衛 「狼が出てきて食うてくれるわ」

喜ィ公 「そんなん、かなわん。働かいで食うていける方法でんがな」

甚兵衛 「そうか、それならわしの手下になれ。
わしは盗っ人や。
こう明かした以上、よそで喋られたら命にかかわる。お前、仲間に入らんちゅうのなら殺してしまうぞ!」

喜ィ公 「そんな恐い顔しなはんな。ほなら、手下になりまんがな」

その夜遅く、表の戸をドンドン叩いて、
喜ィ公 「甚兵衛はん、甚兵衛はん! 早よ盗っ人に行きまひょ」

甚兵衛 「こら、大きな声出すな。こっちへ入れ。・・・なんや、お前、紋付に袴で」

喜ィ公 「へえ、今晩は盗っ人稼業の開業式やもんで、床屋行って、風呂行って、これ質屋から受けだして着てきた」

甚兵衛 「アホかお前は、この黒い筒袖の着物を着ろ。・・・そな、ぼちぼち出掛けるぞ」

喜ィ公 「甚兵衛はん、なにしてるねん?」

甚兵衛 「盗っ人が入らんように戸締りしてんのや」

喜ィ公 「入るどころか、今、二人出よるがな・・・どこへ行きまんねん」

甚兵衛 「崇禅寺馬場で追いはぎをやるんじゃ。あの辺りは寂しいさかいな」、崇禅寺馬場へとやって来て二人は藪の中に隠れた。

甚兵衛 「旅人が来たらお前が先に言うんやぞ、"おい、ここをいずくと心得る。
明けの元朝から暮れの大晦日まで、ここは頭(かしら)の張り場所。
知って通れば命はない。知らずに通らば命ばかりは助けてやるが、身ぐるみ脱いで置いて行け、四の五と抜かすと、腰の二尺八寸、ウヌの土手っ腹にお見舞い申すぞ"、こない脅かすんや」

喜ィ公 「そんな、よう言いまへんで、四、五日待ってもらわなとても覚えられん・・・」、ぐずぐず言っているうちに二人連れの旅人が通り掛かった」

甚兵衛 「何してんのや、早よ出んかい」と喜ィ公の背中を押し出した。
ヨロヨロと旅人の前に出て、

喜ィ公 「お~い、旅の人・・・・」、ガタガタ震えてわけのわからん口上を並べている。

旅人 「おもろいやつが出てきよったで・・・」と、笑いながら通り過ぎようとすると、甚兵衛さんが出て来て、さすがは頭、二人を身ぐるみ剥いでしまった。

もうひと儲けと待っていると、三度飛脚がやって来た。
こやつは旅慣れしていて、追いはぎなんぞはちっとも恐がらない。
アベコベに二人を取り押さえて丸裸にしてしまった。

甚兵衛 「こら、張った場所が悪かったわい。崇禅寺馬場じゃ、返り討ちにあった」

解説

「崇禅寺馬場」は、怠け者の与太郎と悪知恵の働く先輩という組み合わせで展開される関西落語の代表作です。働くことを嫌う喜ィ公と、皮肉の利いた甚兵衛の掛け合いが絶妙で、関西弁の軽妙なやり取りが聞き手を楽しませます。

この噺の最大の魅力は、喜ィ公の天然ぶりと甚兵衛の皮肉が随所に散りばめられていることです。「開業式だから紋付袴」「盗っ人が入らないように戸締り」「四、五日待ってもらわないと覚えられない」など、常識とずれた発想や行動が次々と飛び出し、聞き手の笑いを誘います。

特に印象的なのは、喜ィ公が「盗っ人稼業の開業式」だと勘違いして紋付袴で現れる場面です。犯罪行為を晴れやかな門出として捉える発想の転換は、与太郎噺ならではの愚かさを象徴する名場面といえるでしょう。

オチの「崇禅寺馬場じゃ、返り討ちにあった」は、地名の「馬場(ばば)」と「場所が悪かった」をかけた地口オチです。失敗を場所のせいにする甚兵衛の負け惜しみも含めて、最後まで彼らしいキャラクターが貫かれています。

関西落語の特徴である軽快なテンポと親しみやすい関西弁で語られるこの噺は、初心者にも分かりやすく、落語の面白さを存分に味わえる古典作品の一つです。盗人という題材を扱いながらも、あくまでコミカルに描かれており、安心して楽しめる娯楽性の高い演目として親しまれています。


落語用語解説

  • 崇禅寺馬場 – 大阪府大阪市東淀川区にある崇禅寺付近の地名。江戸時代は寂しい場所として知られた。
  • 追いはぎ – 街道や寂しい場所で旅人を襲い、金品を奪う盗賊のこと。
  • 三度飛脚 – 毎月三度(上旬・中旬・下旬)大坂と江戸を往復する飛脚。旅慣れしており腕っぷしも強い。
  • 紋付袴 – 正式な礼装。喜ィ公は盗っ人の「開業式」と勘違いしてこの正装で現れる。
  • 地口オチ – 地名や言葉の音を掛けたダジャレオチ。「馬場」と「場所が悪い」を掛けている。

よくある質問(FAQ)

Q: なぜ喜ィ公は紋付袴で現れたのですか?
A: 盗っ人稼業の「開業式」だと勘違いしたためです。晴れやかな門出として捉え、床屋で髪を整え、質屋から礼服を受け出して着てきました。

Q: 「崇禅寺馬場じゃ、返り討ち」というオチの意味は?
A: 地名の「馬場(ばば)」と、張った「場所(ばしょ)が悪かった」を掛けた地口オチです。失敗を場所のせいにする甚兵衛の負け惜しみも含まれています。

Q: 三度飛脚はなぜ強かったのですか?
A: 毎月三度も大坂と江戸を往復する三度飛脚は旅慣れしており、追いはぎ対策も心得ていたため、逆に盗賊を取り押さえることができました。

名演者による口演

  • 桂米朝(三代目) – 上方落語の重鎮。甚兵衛と喜ィ公の掛け合いを絶妙に演じました。
  • 笑福亭松鶴(六代目) – 上方落語の大御所。関西弁の味わいを存分に活かした演出で知られます。
  • 桂文枝(五代目) – 昭和の名人。喜ィ公の天然ぶりを軽妙に演じました。

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この噺の魅力と現代への示唆

「崇禅寺馬場」は、怠け者の喜ィ公と悪知恵の働く甚兵衛の掛け合いが絶妙な上方落語の傑作です。「開業式だから紋付袴」「盗っ人が入らないように戸締り」など、常識とずれた発想が次々と飛び出し、笑いを誘います。

最後の「崇禅寺馬場じゃ、返り討ち」という地口オチは、失敗を場所のせいにする負け惜しみも含めて、関西落語らしい軽妙な締めくくりです。

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