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【古典落語】そってん芝居 あらすじ・オチ・解説 | 「もう済んだか」と追いはぎが呆然!芝居好き床屋と褌一丁駕籠旅の傑作騒動

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話芸の殿堂-古典落語-そってん芝居
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そってん芝居

3行でわかるあらすじ

船場の旦那が堺の叔父の病気見舞いに行こうとし、急いで芝居好きの床屋・磯七を呼ぶ。
磯七は忠臣蔵の話に夢中で仕事が遅れ、夕方になって追いはぎ対策で褌一丁で駕籠に乗る。
飛田の森で本当に追いはぎに遭遇するが、すでに褌一丁なので「もう済んだか」と言われる。

10行でわかるあらすじとオチ

船場の商家の旦那のもとに堺の叔父の病気見舞いの急報が届く。
急いで床屋の磯七を呼び髪を整えようとするが、磯七は芝居好きで忠臣蔵の話に夢中。
剃刀を振り回しながら「松切り」や「四段目」の話をして、仕事に集中せず時間がかかる。
夕方になって急いで駕籠で堺に向かうことになり、追いはぎ対策を相談する。
番頭の提案で、追いはぎに着物を奪われないよう褌一丁で駕籠に乗り、衣服は風呂敷に隠す。
日が暮れて飛田の森にさしかかると、石塔の間から抜き身を持った浪人風の追いはぎが出現。
駕籠屋は逃げ出し、追いはぎが「身ぐるみ脱いで置いて行け」と駕籠をめくる。
すると旦那はすでに褌一丁の姿で、追いはぎも予想外の状況に戸惑う。
追いはぎが「おぉ!もう済んだか」と驚く声で落語は終わる。
事前の対策が功を奏した皮肉な結果で、聴衆の予想を裏切る痛快なオチ。

解説

そってん芝居は、上方落語の傑作で、芝居好きの床屋と追いはぎ対策の皮肉な結果を描いた滑稽噺です。
「そってん」は関西弁で「そんな」という意味で、磯七の芝居談義に対する旦那の呆れた気持ちを表しています。
磯七は典型的な江戸時代の職人気質を持ちながら芝居に熱中する人物で、忠臣蔵の各段の説明をしながら剃刀を振り回す危険な場面が笑いを誘います。
追いはぎ対策として褌一丁で駕籠に乗るという発想は、当時の庶民の知恵を表現しており、それが実際に追いはぎに遭遇した時の「もう済んだか」という意外な結末につながります。

この噺の魅力は、事前準備が思わぬ形で功を奏する皮肉と、追いはぎすら困惑させる状況の可笑しさにあります。

あらすじ

船場のある商家の旦那のところへ、堺の叔父さんの家から飛脚が来た。
大病の叔父さんの容態が悪いので、すぐに来てほしいとの手紙だ。

旦那 「わしゃこれから堺へ見舞いに行かなならへん。
見舞いちゅうてもそのままお通夜、葬式てなことになりかねん、紋付の用意をしておくれ。それからな、こんな頭では行かれへんさかい、急いで床屋の磯七を呼んどくれ、磯七、磯村屋をな」

すぐに廻り髪結いの磯七がお得意さんで芝居好きな旦那のところへ、いそいそと喜んでやって来た。
早速、旦那の頭に取り掛かるが、すぐに芝居の話になる。

磯七 「・・・忠臣蔵の通しも二年にいっぺんぐらいは出ますけども、今度の中の芝居(中座)ははちょっと違いまっせ・・・」、「ほぉ、どない違うんや?」

磯七 「役者が揃ろとります、顔ぶれが・・・大序からしてよろしおます、"鶴が岡八幡・兜改め"の幕が・・・」、もう磯村屋は止まらない。

磯七 「今度はな、二段目「松切り」が出てまっさかいなぁ・・・憎い師直に見立てた盆栽の松の枝を、刀でシュッと切るとこ・・・」、剃刀を振り回し始めて危なくてしょうがない。

旦那 「まだ月代も剃ってへんのかいな。
堺のオッサン九死に一生の大病なんや。早いとこやんなはれ」

磯七 「へい、次は四段目へ・・・」

旦那 「早よやるのは頭だよ。
もう芝居の話はするな。黙っておやり」、喋らないでやるのが苦手な磯七、手元も不器用になって不細工の頭が出来上がってしまった。

もう、結い直す暇もなく、
旦那 「えらいこっちゃがな、もう日が傾いてしもてるやないかいな。早いこと駕籠呼んどくれ」、店の者がいつもの駕籠善に頼みに行くと、この頃飛田の森あたりで追いはぎが出るので、こんな時間から堺に行くのはご免と断られてしまった。

旦那 「困ったな、ほな辻駕籠をつかまえて乗って行こ」、店の者が駕籠代をはずんでつかまえて来た辻駕籠に乗ろうとすると、

番頭 「追はぎに着物はがれんように、裸で乗って行きなはれ」、なるほどと旦那は駕籠の布団の下に着物一式、財布なんかを風呂敷に包んで隠して、褌(ふんどし)一丁の姿でいざ出発だ。

さあ、日もとっぷりと暮れて、昔、刑場があった寂しい飛田の森に差しかかった。
すると石塔の間から抜き身をぶら下げた浪人風の男がぬっと姿を現した。
駕籠屋は、「出たぁ~」と客と駕籠放って逃げてしもた。

追いはぎ 「この時刻にここを通るとは度胸のあるやっちゃ、ここは地獄の一丁目があって二丁目のないとこ、四の五の言わずに身ぐるみ脱いで置いて行け。おい!」、と勢いよく駕籠をめくって、

追いはぎ 「おぉ!もう済んだか」


落語用語解説

  • そってん – 関西弁で「そんな」という意味。磯七の芝居談義に対する旦那の呆れを表現。
  • 磯七(磯村屋) – 芝居好きの床屋。仕事より芝居談義に夢中になる典型的なキャラクター。
  • 廻り髪結い – 各家を回って髪を整える職人。現代の訪問美容師のような存在。
  • 忠臣蔵 – 赤穂浪士の討ち入りを題材にした芝居。江戸時代の人気演目で、松切りや四段目などの名場面がある。
  • 飛田の森 – 大阪の飛田にあった森。かつて刑場があり追いはぎが出ると恐れられた。

よくある質問(FAQ)

Q: なぜ旦那は褌一丁で駕籠に乗ったのですか?
A: 追いはぎに着物を奪われないための対策です。着物は風呂敷に包んで駕籠の布団の下に隠し、裸で乗れば奪われるものがないという番頭の知恵でした。

Q: 「もう済んだか」というオチの意味は?
A: 追いはぎが「身ぐるみ脱いで置いて行け」と言って駕籠をめくると、すでに褌一丁の姿だったため、「もう別の追いはぎに身ぐるみ剥がされた後か」と勘違いしたという笑いです。

Q: 磯七の芝居談義はなぜ危険だったのですか?
A: 剃刀を振り回しながら忠臣蔵の殺陣の場面を再現するため、旦那の顔や首に剃刀が当たりそうになるという危険な状況でした。

名演者による口演

  • 桂米朝(三代目) – 上方落語の重鎮。磯七の芝居談義を臨場感たっぷりに演じました。
  • 桂文枝(五代目) – 昭和の名人。追いはぎとの対面シーンを軽妙に演じました。
  • 笑福亭松鶴(六代目) – 上方落語の大御所。関西弁の味わいを存分に活かした演出で知られます。

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この噺の魅力と現代への示唆

「そってん芝居」は、芝居好きの床屋・磯七と、追いはぎ対策の皮肉な結果を描いた上方落語の傑作です。忠臣蔵の話に夢中で仕事が遅れる磯七の姿は、趣味に没頭しすぎる現代人にも通じるユーモアがあります。

事前準備が思わぬ形で功を奏する「もう済んだか」というオチは、追いはぎすら困惑させる痛快な結末です。関西弁の軽妙な会話と、視覚的に面白い展開が楽しめる名作です。

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