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【古典落語】真景累ヶ淵③ あらすじ・オチ・解説 | 駆け落ちが生んだ悲劇!恐怖の累ヶ淵で妙な顔に変化

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話芸の殿堂-古典落語-真景累ヶ淵3
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真景累ヶ淵③

3行でわかるあらすじ

新吉とお久が駆け落ちし、累ヶ淵でお久が豊志賀に憑依されて恐ろしい顔に変わり、新吉が鎌で殺してしまう。
甚蔵に秘密を握られた新吉は、三蔵の妹お累と結婚するが、お累もやけどで顔が醜くなってしまう。
最後に鎌に絡み付いた蛇が真っ二つになって落ち、頭部が座敷に這い上がってくる。

10行でわかるあらすじとオチ

小石川から駆け落ちした新吉とお久は、水戸街道を通って水海道に入り、累ヶ淵あたりに差しかかる。
雨が降り出してお久が土手から滑り落ち、草刈り鎌で膝を切って血を流し、新吉におぶされる。
お久が「あなたは私を見捨てる」と言い、新吉が見るとお久の顔が死んだ豊志賀そっくりになっている。
新吉は恐ろしくなって「迷ったか」と鎌を振り回し、お久の喉を殺してしまう。
新吉は落雷の中、在手の甚蔵の小屋に逃げ込み、甚蔵に殺人を白状させられる。
甚蔵は新吉を脅して金をゆすろうとするが、新吉は無一文で居候の身となる。
甚蔵は鎌にあった「三」の刻印で羽生村の質屋三蔵をゆすり、二十両で鎌を買い取らせる。
新吉はお久の墓参りに行き、そこで三蔵の妹お累と出会い、お互いに想いを抱く。
ある夜お累が蛇に驚いて囲炉裏で転び、熟水を顔に浴びて半面紫色のやけど顔になってしまう。
新吉はお累と結婚し、初夜に鎌に絡み付いた蛇が真っ二つになって落ち、頭だけが座敷に這ってくる。

解説

「真景累ヶ淵」第3話は、鶴屋南北の歌舞伎「東海道四谷怪談」を原作とした怪談落語の傑作です。タイトルの「累ヶ淵」は常陸国(現在の茨城県)に実在した池の名所で、累(かさね)の伝説で有名な場所でした。

この話の特徴は、現実的な旅路の描写から始まって、次第に超自然的な恐怖に発展していく構成です。小石川から始まる駆け落ちの旅路は、当時の主要街道である水戸街道を追い、実際の地理に基づいて描かれているため、物語にリアリティを与えています。

物語の転換点は、累ヶ淵でお久が豊志賀に憑依されて変貌する場面です。ここから完全に怪談の世界に入り、人間の顔が死者のそれに変わるというショッキングな展開が描かれます。新吉が鎌でお久を殺してしまうのも、純粋な殺意ではなく、超自然的な恐怖に駆られた行動として描かれていることが特徴です。

物語の中盤では、甚蔵という悪役が登場し、新吉の秘密を物で脅すという人間の世界の恐ろしさも織り込んでいます。鎌の刻印を使った脅迫の手口は、人間の悪意がいかに残酷であるかを示しています。

終盤のお累の登場と彼女の変貌は、豊志賀の祟りが継続していることを示しています。蛇が鎌に絡み付いて真っ二つになり、その頭だけが座敷に這い上がってくるラストシーンは、豊志賀の怒りがまだ治まっていないことを象徴していると考えられます。

あらすじ

小石川戸崎町から新吉とお久の駆け落ちが始まった。
その日は日暮里から千住へ出て水戸街道に入り、江戸川を渡って松戸宿に泊まった。
翌朝、水戸街道を我孫子宿の手前で布施街道に入り、七里ヶ渡し(戸頭の渡し)で利根川を渡り、守谷で布施街道と分かれて水海道へと入った。

麹屋で夕飯で休憩して鬼怒川を渡って川沿いを横曽根から累(かさね)の物語の残る累ヶ淵あたりさしかかる。
ぽつりぽつりと降り出した雨が雷が鳴って激しくなってきた。

朝から歩きどうして疲れ切っているお久は暗い中、土手から足を滑らせる。
すると下に転がっていた草刈鎌で膝の下をざっくりと切って血がだらだらと流れ出した。
新吉は歩けなくなったお久をおぶる。

お久 「あい、ありがとう。これから世帯を持って仲良く暮らせれば嬉しいが・・・おまえさんはわたしに愛想をつかしてきっと見捨てるよ」

新吉 「なぜそんなことを・・・けっして見捨てやしないよ」

お久 「なぜって、わたしはこんな顔になったよ」、新吉がお久を見ると目の下が腫れあがり、死んだ豐志賀そっくりのおぞましい形相になっている。

新吉は思わず、「迷ったか!」と、鎌を無茶苦茶に振り回した。
それがお久の喉笛にざっくりと食い込んで、七転八倒の苦しみ。
もがきながら、「う~ん、恨めしい」と息絶えてしまった。

ちょうど浄禅ヶ淵あたりへ大音響の落雷。
新吉は逃げながら土手の一軒家の土手の甚蔵の小屋に転がり込んだ。
そこへさっきのお久の悲鳴を聞いて死骸を見つけた甚蔵が、血染めの鎌を持って帰って来る。

甚蔵は新吉の顔色、様子から殺したのはこいつだと感づいて問い詰める。
知らない、殺(や)っていないととぼける新吉を追い詰め白状させる。
今までのいきさつを聞いて、

甚蔵 「それじゃあその師匠はてめえに惚れて狂い死にして、ほかの女を女房にすれば取り殺すてぇ書き置きのとおりに祟っているというわけだ」、甚蔵は金をゆするが、何せ新吉はお久と二人で小石川の墓場から直行して来たのだからもう一文無し。

甚蔵 「つまらねえやつが飛び込みやがったな。仕方ねえ、じゃあ、まあここにいろ」、いつかこいつは金儲けに使えるかも知れないと踏んで、新吉は甚蔵のところへ居候の身となった。

甚蔵は鎌に三の刻印があるのに目を付け羽生村の質屋の三蔵の家に行って三蔵をゆする。(三蔵はもとは深見家の下男で宗悦の死骸を葛籠に入れて捨てに行って、そのまま羽生へ帰った三右衛門の倅) 三蔵の家の者がお久を殺したなんてとんだ言いがかりだが、甚蔵に村中に変な噂をばらまかれ、いつまでもつきまとわれるのはご免と、三蔵は鎌を二十両で買い取る。

発見されたお久の死骸は伯父の三蔵が法蔵寺へ葬ったと小耳に挟んだ新吉は花と線香を持って墓参りに行く。
そこに下女と墓参りに来ていたのが三蔵の妹のお累(るい)だ。
まだ元服前の大島田、色白で鼻筋が通って二重まぶた、普段着だが村のお大尽の娘と思うこしらえだ。
江戸の屋敷奉公から帰ったばかりのお累は、江戸から来た優男の新吉を忘れられなくなる。
新吉も鄙にはまれないい女のお累のことを思うようになる。

ある夜、お累が寝ている座敷に大きな蛇が出た。
お累はびっくりして逃げるはずみに囲炉裏端で転んで煮え炊ぎっていたやかんの湯を顔に浴びてしまった。

すぐに医者を呼んで手当を尽くしたが、お累の顔は半面紫色で黒ずみ、片鬢(びん)は剥げてしまって元の器量とはかけ離れた見られぬ顔になってしまった。
こんな顔ではもう新吉には会えないとお累はふさぎ込んで寝込んでしまい身体も弱って行く。

心配して下女から新吉のことを聞き出した三蔵は縁談の掛け合い人を新吉のところへやる。
お累の今の面相を知らない新吉は嫌と言うはずもなく、話はまとまりすぐに婚礼となった。

初めてお累のやけど顔を見た新吉はお累はお久の血縁(伯母)で、これも豐志賀が祟っているのかとぞっとしたがあきらめも半分。
すると縁側の屋根裏に置いてあった甚蔵が二十両でゆすって売った鎌に蛇が巻き付いて胴体が真っ二つになって落ちて来て、頭の方が這って座敷に上がって来た。
新吉が煙管で打つと蛇は見えなくなった。
怖いとすがりついたお累を抱きしめた新吉。
一夜でお累は身重になった。


落語用語解説

  • 累ヶ淵(かさねがふち) – 常陸国(茨城県)に実在した池の名所。累の怨霊伝説で有名な場所です。
  • 草刈鎌 – 草を刈るための農具。この噺では凶器として重要な役割を果たします。
  • 甚蔵(じんぞう) – 悪役として登場する在手の男。新吉の秘密を握って脅迫します。
  • 苆(すさ) – 壁土に混ぜる藁くず。押切りで切って使用しました。
  • 元服前 – 成人前のこと。女性は髪型で年齢や身分を表しました。

よくある質問(FAQ)

Q: なぜお久の顔が豐志賀に変わったのですか?
A: 豐志賀の怨霊がお久に憑依したためです。累ヶ淵という因縁の場所で、死者の怨念が生者に影響を与えたという設定です。

Q: 蛇が真っ二つになって這い上がってくる意味は?
A: 豐志賀の怨念がまだ消えていないことの象徴です。蛇は怨霊の化身として、新吉に災いをもたらす暗示となっています。

Q: お累はなぜ顔にやけどを負ったのですか?
A: お久(豐志賀の妹の娘)の血縁者であるお累にも、豐志賀の祟りが及んだと解釈されています。

名演者による口演

  • 三遊亭圓朝 – この作品の創作者。累ヶ淵での恐怖場面を臨場感たっぷりに演じました。
  • 三遊亭圓生(六代目) – 昭和の名人。旅路の描写と怪異の対比を見事に表現しました。
  • 桂歌丸 – 怪談噺の名手。累ヶ淵の恐怖を独特の語り口で伝えました。

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この噺の魅力と現代への示唆

「真景累ヶ淵③」は、現実的な旅路の描写から次第に超自然的な恐怖へと発展していく構成が見事な怪談落語です。

水戸街道の実際の地理に基づいた描写から、累ヶ淵での怪異へと転換する展開は、リアリティと恐怖のバランスが絶妙です。

甚蔵という悪役の登場により、人間の世界の恐ろしさも描かれ、超自然的恐怖と人間の悪意が絡み合う複層的な物語となっています。

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