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【古典落語】島原八景 あらすじ・オチ・解説 | 髪が焦げても「大事おへん」な偽旦那の珍妙な遊郭騒動

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話芸の殿堂-古典落語-島原八景
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島原八景

3行でわかるあらすじ

船場の商家で働く喜六が、旦那に仕立てられて島原遊郭に遊びに行く。
太夫の優雅な煙管の仕草を真似しようとするが、古い煙管で吸い殻が自分の頭に落ちて髪が焦げる。
それでも太夫の真似をして「大事おへん、ほっといてくださりませ」と言うオチ。

10行でわかるあらすじとオチ

船場の商家で働く喜六が島原遊郭に行きたいと言うと、旦那が面白い提案をする。
喜六を彦兵衛旦那に仕立て、自分がお供として島原に行こうという趣向である。
島原の大門で旦那が島原の七不思議を説明し、角屋の扇の間に案内される。
太夫が出てきて「かしの式」という挨拶があり、煙管で煙草を吸って渡す。
旦那が煙草を吸った際、吸い殻が太夫の金襴の打掛に落ちてしまう。
太夫は慣れた様子で禿に煙草盆を持ってこさせ、打掛をはたいて吸い殻を上手に処理する。
喜六はその優雅な仕草に感心し、自分も真似をしようと古い煙管を取り出す。
ところが羅宇仕替えから八年という古い煙管で、力一杯吹いた拍子に吸い殻が飛び上がる。
吸い殻は喜六の頭のてっぺんに乗り、髪の毛がジリジリと焦げ出す。
半泣きになりながらも喜六は太夫の真似をして「大事おへん、ほっといてくださりませ」と言う。

解説

島原八景は、上方落語の代表的な廓噺(くるわばなし)の一つです。
京都の島原遊郭を舞台にした滑稽噺で、無知な下男の喜六が一日旦那の身分を体験する物語です。

この噺の見どころは、島原の七不思議の説明部分と、太夫の優雅な仕草と喜六の粗野な振る舞いの対比です。
島原の七不思議とは「入口を出口、どうもないのに道筋、下へ行くのを上之町、上へ行くのを下之町、橋もないのに端女郎、社もないのに天神さま、語りもせんのに太夫さん」という言葉遊びで、実際の島原の地形や遊郭の仕組みを巧みに表現しています。
オチは、太夫の洗練された所作を真似しようとして大失敗する喜六の滑稽さと、それでも格好をつけようとする健気さが絶妙に表現されています。
「羅宇仕替えから八年」という煙管の描写も、喜六の貧しい身分を表す効果的な演出です。

あらすじ

船場の出入りの商家にやって来た喜六が、一度島原へ行って遊んでみたいと言うと、
旦那 「そうか、一ぺんわしが案内したげよ。
けどお供ではつまらんさかい、お前を旦那に仕立てて、わしがお供という趣向で行こう。そやなおまはんを彦だん、ということにしよう」

喜六 「ひょこたんでっか?」

旦那 「彦兵衛旦那や、わしが彦だんと呼んだら"ああ、ああ"と返事せえ。ちょっと彦だん」

喜六 「へえ、へえ」

旦那 「へえへえ、ちゅうたらあかんがな、鷹揚に自分の方がえらいんや、ちゅう顔してんとあかんで」

喜六 「わし、そんな窮屈なん、かなわんがな」

旦那 「その方が面白いのやさかい、上手くやってや」、旦那から上等の着物一式を借りて、旦那をお供にして喜六は島原の大門へとやって来た。

旦那 「さあ、ここが大門や。
これが"出口の柳"と、唄にもなってる名代の柳や。
島原には七不思議がある。入口を出口と言い、どう(堂)もないのに道筋(どうすじ)、下へ行くのを上之町、上へ行くのを下之町、橋もないのに端女郎、社もないのに天神さま、語りもせんのに太夫さん・・・太夫、天神、端女郎はみな遊女の格や」

角屋に上がると、「扇の間へ、ごあな~い(案内)」
旦那 「さ、これから"かしの式"やで」

喜六 「何を貸してくれまんねん?」

旦那 「そやない。太夫さんがここへ出て来てあいさつするのや」、太夫が煙管で吸いつけて渡すと、旦那が煙草を一服してフゥーと吹いた。
すると吸い殻が太夫のしかけ(打掛)にコロッと落ちてしまった。

喜六 「あぁ、えらいこっちゃ、金襴の縫い取りがしてあるのに・・・」とあわてているが、あわてず、騒がず、

太夫 「大事ござりません。ほっといてくださりませ」、禿(かむろ)を呼んで煙草盆を持ってこさせて、打掛をポンとはたくと、吸い殻はコロコロコロと煙草盆にジュッと落ちた。

喜六は太夫さんともなれば大したもんや、わしもやってやろと、腰の煙草入れを取り出した。
これが羅宇仕替えてから八年、紙巻いて三年という代物で、吸うたびにジュジュウ音がする煙管だ。
大旦那も着物から履物までは気を使ったが煙管まではうっかりしていた。

喜六は煙草を詰めてフッと吹いたが、煙管の掃除がしてないので吸い殻がすんありとは出て来ない。
今度は力一杯吹いたもんだから吸い殻が飛び上がって喜六の頭のてっぺんに乗ってしまった。
髪の毛がジリジリと焦げ出してきて、「お客さん、彦だんはん、えらいこっとす」、半泣きになりながらも、

喜六「大事おへん、ほっといてくださりませ」


落語用語解説

  • 島原 – 京都の公許遊郭。江戸の吉原に対応する花街で、格式の高い太夫や天神がいました。
  • 太夫(たゆう) – 遊郭の最高位の遊女。高い教養と芸事を身につけた最上級の存在で、客を選ぶ権利がありました。
  • かしの式 – 太夫が客に初めて挨拶する儀式。煙管で煙草を吸いつけて客に渡すなど、優雅な所作が行われました。
  • 禿(かむろ) – 太夫や花魁に仕える幼い少女。将来は遊女になるための見習いでした。
  • 羅宇(らう) – 煙管の竹の部分。「羅宇仕替え」は竹を新しいものに取り替えることです。

よくある質問(FAQ)

Q: 島原の七不思議とは何ですか?
A: 「入口を出口、どうもないのに道筋、下へ行くのを上之町、上へ行くのを下之町、橋もないのに端女郎、社もないのに天神さま、語りもせんのに太夫さん」という言葉遊びで、島原の地理と遊女の格を表現しています。

Q: 喜六はなぜ古い煙管を使っていたのですか?
A: 旦那は着物から履物まで用意しましたが、煙管まで気が回らなかったためです。「羅宇仕替えから八年」という古い煙管は、喜六の普段の貧しい生活を象徴しています。

Q: 太夫の「大事ござりません」という対応にはどんな意味がありますか?
A: 太夫は高い教養と品格を持ち、どんな状況でも慌てず優雅に対応することが求められました。この所作に感心した喜六が真似しようとして大失敗するのがオチです。

名演者による口演

  • 桂米朝(三代目) – 人間国宝。島原遊郭の風情と七不思議の説明を丁寧に演じました。
  • 桂枝雀 – 喜六の滑稽な失敗を独特の表現力で演じ、爆笑を誘いました。
  • 桂文珍 – 旦那と喜六の掛け合いを軽妙に演じています。

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この噺の魅力と現代への示唆

「島原八景」は、京都の島原遊郭を舞台にした上方落語の廓噺です。下男の喜六が一日旦那の身分を体験するという設定で、庶民が憧れた花街の世界を垣間見せてくれます。

この噺の見どころは、太夫の優雅な所作と喜六の粗野な振る舞いの対比です。吸い殻が打掛に落ちても慌てず優雅に処理する太夫に感心した喜六が、真似しようとして大失敗するオチは、身分違いの滑稽さを見事に表現しています。

「羅宇仕替えから八年」という古い煙管の描写も、喜六の普段の生活を象徴する効果的な演出です。

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