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【古典落語】夕立勘五郎 あらすじ・オチ・解説 | 訛りまくり浪花節師の珍妙な公演

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古典落語-夕立勘五郎
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夕立勘五郎

3行でわかるあらすじ

浪花節好きの熊さんが浅草の寄席で広沢熊造の「夕立勘五郎」を聞く。
熊造の訛りがひどくて何を言っているかさっぱりわからない。
熊さんが「ゾォーッとした」と文句を言うと熊造は「名前が夕立じゃ」と返す。

10行でわかるあらすじとオチ

浪花節が大好きな熊さんが仕事休みで浅草の寄席に行く。
お目当ては広沢虎造の弟子と触れ込みの広沢熊造。
出し物は松平出羽守の愛馬夕立を侠客勘五郎が殴り殺した話。
前座が終わり、いよいよ熊造先生が登場する。
「アアー、ヌグヌグスク、ゴレージョータワマリマステェー」と挨拶から訛りまくり。
昔の侠客の話から始まり、夕立勘五郎の物語を語り始める。
「マツダイラコウガエカクカワイガッテイル」など何を言っているかわからない。
馬を拳固で殴り殺して夕立の異名を取った話を訛りで語る。
熊さんが「ひでえ訛りだ、ゾォーッとした」と文句を言う。
熊造は「名前が夕立じゃ」と答えて言葉遊びでオチをつける。

解説

「夕立勘五郎」は浪花節を題材とした言葉遊びの落語です。
広沢虎造は実在の著名な浪花節師で、その弟子という設定の広沢熊造の訛りの強さが笑いの中心となっています。
物語中の浪花節の内容は、松平出羽守(茶人として名高い松平不昧公)の愛馬夕立を侠客の勘五郎が殴り殺すという荒唐無稽な話です。
オチの「ゾォーッとした」は、熊造の下手な語りに対する熊さんの感想ですが、熊造は「夕立」という名前を「夕立ち(雷雨)」と掛けて、雷雨の時に「ゾォーッ」とするのは当然だと返します。
方言芸と言葉遊びを組み合わせた巧妙な構成で、浪花節という芸能の大衆性も描かれた作品です。

あらすじ

浪花節が大好きな熊さん、今日は仕事が休みで浅草の寄席に行く。
お目当ては広沢虎造の弟子と触れ込みの広沢熊造で、出し物は夕立勘五郎だ。
松平出羽守(不昧公)の愛馬、夕立が往来へ暴れ出したのを侠客の伊賀屋勘五郎が両手を広げて止め、拳固で殴り殺した。
以来、夕立勘五郎の異名を取ったという話だ。

前座が終わり、熊造先生が登場する。「♪アアー、ヌグヌグスク(賑々しく)、ゴレージョータワマリ(ご来場賜り)マステェー、アズクオンレイッコサモウスアギマス(厚く御礼申し上げます)・・・イドノキョウガクウーダツカンゴロノモノガタリ、オズカンマデェ(江戸の侠客、夕立勘五郎の物語、お時間まで)・・・・♪」、と凄いのが始まった。

「♪・・・ムカスカラユウメイナキョウガクニャア(昔から有名な侠客には)、ツムズミナトノゾロチョウ(清水港の次郎長)、オーミャーダノエーゴロウ(大前田の英五郎)、クヌサダムラノツーズ(国定村の忠治)ナンテノガエエアオアブン(親分)ダガァ、コノハナスノスズンコウ(主人公)ノウーダツノカンゴロもスゲエッツスヨ(夕立の勘五郎も凄いっすよ)♪」、「♪アルスノコト(ある日のこと)、マツダイラコウガエカクカワイガッテイルウーダツテエウマガ(松平公がえらく可愛がっている夕立てえ馬が)・・・往来を駆け出スて来たよ・・・カンゴロハリョウノテサオッピロゲテタツフサゲッタイ(勘五郎は両の手さおっぴ広げて立ち塞がった)・・・馬の横ッ腹ぁ、こんあ大きな拳固(ギンコ)で、はっくり返(けえ)すと、馬ぁ、おっつんだ(死んだ)でねえけえ。うーだつのえみょう(夕立の異名)を取ったウーダツカンゴロのお粗末だがあ・・・おズカンダデ(お時間だで)、またミョウバンのオアズカリィ(明晩のお預かり)・・・」、

熊さん 「何だこりゃ、おい熊造先生、夕立はどこの侠客だ」

熊造先生 「うーだつ(夕立)はいど(江戸)のきょうがく(侠客)だ」

熊さん 「ひでえ訛りだ。
こんな浪花節は初めてだ。聞いている時に"ゾォーッ"としたぞ。」

熊造先生 「あれは聞いている時は"ゾォーッ"とするもんだ。名前(なめえ)が夕立(ウーダチ)じゃ」


落語用語解説

浪花節(なにわぶし)
三味線の伴奏に合わせて物語を語る大衆芸能。浪曲とも呼ばれ、明治から昭和にかけて絶大な人気を誇った。

広沢虎造(ひろさわとらぞう)
昭和を代表する浪曲師。「清水次郎長伝」などで知られ、独特の節回しで大人気を博した。この噺では熊造の師匠として名前が登場する。

前座(ぜんざ)
寄席で真打の前に出演する若手芸人。この噺では熊造の前に出演する芸人を指す。

松平出羽守(まつだいらでわのかみ)
実在の大名・松平不昧公のこと。茶人として名高く、この噺では愛馬「夕立」の飼い主として登場する。

侠客(きょうかく)
義理人情に厚く、弱きを助け強きをくじく任侠の人。この噺の主人公・勘五郎も侠客として描かれている。

寄席(よせ)
落語や浪曲などの演芸を楽しむ場所。この噺の舞台は浅草の寄席となっている。


よくある質問(FAQ)

Q: オチの「名前が夕立じゃ」の意味は?
A: 熊さんが「ゾォーッとした」と訛りのひどさに文句を言ったのに対し、熊造が「夕立(雷雨)の話だからゾォーッ(ザーッと雨が降る音)とするのは当然だ」と言葉遊びで返しています。訛りへの苦情を演目の内容にすり替えた巧妙なオチです。

Q: 熊造の訛りはどこの方言ですか?
A: 東北地方の訛りを誇張したものです。「江戸」が「いど」、「夕立」が「うーだつ」など、標準語とはかけ離れた発音が笑いを誘います。

Q: 夕立勘五郎は実在の人物ですか?
A: この噺に登場する夕立勘五郎は架空の侠客です。松平出羽守の愛馬を素手で殴り殺したことから「夕立」の異名を取ったという設定になっています。

Q: なぜ熊さんは訛りのひどい芸人を聞きに行ったのですか?
A: 熊さんは「広沢虎造の弟子」という触れ込みを信じて期待して出かけましたが、実際の熊造は師匠とは似ても似つかぬ訛りの持ち主だったのです。

Q: この噺の面白さはどこにありますか?
A: 訛りの強い台詞を次々と聞かせる「方言芸」と、最後の言葉遊びによるオチの組み合わせが面白さの核心です。演者の方言の演じ分けが腕の見せ所となります。


名演者による口演

五代目 古今亭志ん生
東北訛りを誇張した熊造の台詞を絶妙に演じ、客席を爆笑の渦に巻き込んだ名演で知られる。

三代目 三遊亭金馬
浪曲師の節回しを取り入れながら訛りを演じ、本格的な浪曲と方言のギャップを楽しませた。

五代目 柳家小さん
熊さんの期待と失望の表情の変化を見事に演じ、オチまでの流れを丁寧に描いた。


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この噺の魅力と現代への示唆

「夕立勘五郎」の魅力は、方言芸と言葉遊びを組み合わせた巧妙な構成にあります。熊造の訛りが強烈であればあるほど、最後のオチが効いてきます。演者にとっては訛りの演じ分けが腕の見せ所であり、聴衆はその訛りに笑いながらも最後のオチで「やられた」と感じる二段構えの笑いが楽しめます。

現代でも方言を聞いて「何を言っているかわからない」という経験は誰にでもあるでしょう。また、期待して出かけたイベントが期待外れだったという経験も普遍的なものです。この噺はそうした日常的な感情を笑いに昇華させています。

落語会で「夕立勘五郎」がかかった際には、演者がどのような訛りを使うか、そしてその訛りからオチの「ゾォーッとした」への流れをどう作るかに注目してみてください。

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