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【古典落語】売り声 あらすじ・オチ・解説 | 江戸の商売人たちの絶妙な売り声テクニック

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話芸の殿堂-古典落語-売り声
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売り声

3行でわかるあらすじ

江戸時代の商売人たちの売り声の技術やコツが紹介され、玉子売りは二声、大根は「でぇーこ」、麩は「ふ屋でござい」など工夫が説明される。
魚屋が「おーいわしこぉっ(新鮮な鰯)」と売り声をあげた後に、篩屋が「ふるい、ふるい」と続く。
さらに古金屋が「ふるかねぇー、ふるかねぇー」と続いて、「新鮮な鰯→古い→古い金」で「古い鰯」に聞こえる言葉遊びで締める。

10行でわかるあらすじとオチ

昔は町内をいろんな売り声の商売人が往来していて、「先々の時計になれや小商人」と言われていた。
玉子売りは「たまごー、たまごー」の二声に限り、一声では道場の取り次ぎ、三声では追いかけられるようで具合が悪いとされる。
大根は「だいこんや」ではごりごりして鬆がありそうで、「でぇーこ、でぇーこ」と泥つきで水々しく聞かせる工夫をする。
一文字の麩は「ふう」では具合が悪く、「ございを」をつけて「えー、ふ屋でござい」となる巧みな技術。
金魚屋は涼やかに一町一声「めだかー・・・きんぎょー・・・ぅ」と眠気を誘い、逆に魚屋は「おーいわしこぉっ」と大声で生きて跳ね返るよう。
ある夏の日、魚屋が「おーいわしこぉっ」と売り声をあげた後に篩屋が「ふるい、ふるい、ふるいー」と続く。
魚屋は「生ものの後から古いーってついて来られちゃたまんねえや」と文句を言い、篩屋と喧嘩になる。
そこへ古金屋が仲裁に入り、「魚屋さんが先、篩屋さんが続いて、その後からあたしがやる」と提案。
結果、「おーいわしこぉっ」「ふるい、ふるいー」「ふるかねぇー、ふるかねぇー」の順になる。
「新鮮な鰯→古い→古い金」の組み合わせで「古い鰯」に聞こえてしまう絶妙な言葉遊びのオチ。

解説

「売り声」は江戸時代の商売人たちの売り声を題材にした古典落語の店噺です。
当時の庶民にとって、売り声は時計代わりでもありました。
朝は納豆売りやシジミ・アサリ売り、昼過ぎは鋳掛屋や生活用品売り、豆腐売りの声が響けば夕方という具合でした。

この噺の前半は各商売人の売り声の工夫やコツを紹介する教養的な内容で、玉子売りの声の回数や大根の呼び方、一文字の麩の販売法など、実際の商売の知恵が盛り込まれています。
後半のオチは魚屋・篩屋・古金屋の売り声が連続することで生まれる言葉遊びで、「新鮮な鰯」が「古い鰯」に聞こえてしまうという巧妙な仕掛けです。
江戸の庶民文化と商売人の知恵、そして落語らしい言葉遊びが見事に組み合わさった演目として親しまれています。

あらすじ

「先々の時計になれや小商人(こあきうど)」、昔は町内をいろんな売り声の商売人が往来していた。

「一声と三声は呼ばぬ玉子売り」、「たまーごー」一声では、「どーれ」と、道場の取り次ぎが出て来るようで、「たまごたまごたまごー」では、後から誰か追っかけて来るようで、「たまごー、たまごー」の二声に限る。

「大根とつくべき文字につけもせず 言わぬ牛蒡をごんぼーという」、「だいこんやだいこん・・・」、これではごりごりして鬆(す)がありそうで、「でぇーこ、でぇーこ」と、泥つきで水々しく聞かせ、牛蒡は「ごぼっ」でも、「ごぼっ、ごぼっ、ごぼっ」でも具合が悪く、大根の余ったんを借りて来て、「ごんぼー、ごんぼー、ごんぼー」となる。

難しいのが一文字の麩(ふ)だ。「ふう」、「ふうふう」、「ふうふうふう」でも、屋をつけて「ふや、ふや、ふや」でもなお悪い。
そこでございをつけて、「えー、ふ屋でござい」となる。

一声半の売り声が唐辛子屋と心太(ところてん)屋、「とんげぇー、とんがらしぇー」、「ところぉてんやー、てんやー」

金魚屋の声は涼やかに一町一声、「めだかー・・・きんぎょー・・・ぅ」と、自然と眠気を誘われる。
これとは逆なのが魚屋、大声で「おーいわしこぉっ」と、魚が生きて跳ね返るようだ。

ある夏の日、「おーいわしこぉっ、おーいわしこぉっ」、すぐ後から「ふるい、ふるい、ふるいー」、
魚屋 「こらぁ、篩屋(ふるいや)、俺は生ものを売ってるんだ。
後から"古いー"ってついて来られちゃたまんねえや。向こうへ行ってくれ」

篩屋 「いつもここらを売って歩ってるんで、お前さんこそほかで売ったらいいでしょ」

魚屋 「生もののあとだから具合悪いってんだ。・・・じゃあ、お前先にやれ」

「ふるい、ふるい、ふるいー」、「おーいわしこぉっ」で、古い鰯でこりゃ駄目だ。

魚屋 「・・・ほかに行かねえと張っ倒すぞ」と、喧嘩が勃発。
そこへ古金屋が割って入った。

古金屋 「同じ小商人同士が喧嘩したってどっちの得にもなりゃしないよ。悪いようにはしないから、・・・まあ、魚屋さんが先に立ってやんな、篩屋さんが続いて、その後からあたしがやるから」

「おーいわしこぉっ」・・・「ふるい、ふるいー」・・・「ふるかねぇー、ふるかねぇー」

落語用語解説

この噺をより深く理解するための用語解説です。

  • 売り声 – 行商人が商品を売り歩く際に発する独特の呼び声。江戸時代は時計代わりにもなった。
  • 篩屋(ふるいや) – 篩(ふるい)を売り歩く商人。粉をふるうための道具を扱う。
  • 古金屋(ふるかねや) – 古い金属製品を買い取る商人。現代のリサイクル業者の原型。
  • 小商人(こあきうど) – 行商人や露店商など小規模な商売人のこと。
  • 鬆(す) – 大根などの野菜の中にできる空洞。品質の悪さを示す。
  • 麩(ふ) – 小麦のグルテンを原料にした食品。一文字で呼びにくいため工夫が必要だった。

よくある質問(FAQ)

Q: 「ふるかねぇー」で「古い鰯」になるオチの意味は?
A: 魚屋の「おーいわしこぉっ(新鮮な鰯)」の後に篩屋の「ふるい(古い)」、古金屋の「ふるかねぇー(古い金)」が続くと、「新鮮な鰯→古い→古い金」と聞こえ、結局「古い鰯」になってしまうという言葉遊びです。

Q: なぜ玉子売りは「二声に限る」のですか?
A: 一声では道場の取り次ぎ(「どーれ」と返事する)に聞こえ、三声では追いかけられているように聞こえるため、ちょうど二声が売り声として最適とされました。

Q: 江戸時代の売り声は本当に時計代わりだったのですか?
A: はい、朝は納豆売りやシジミ売り、昼は鋳掛屋、夕方は豆腐売りというように、それぞれの商売人が決まった時間に来たため、庶民の生活リズムの目安になっていました。

名演者による口演

この噺を得意とした・している落語家をご紹介します。

  • 五代目 古今亭志ん生 – 昭和の名人。様々な売り声を見事に演じ分けました。
  • 八代目 桂文楽 – 昭和の名人。売り声の間合いとオチの決め方が絶品でした。
  • 六代目 三遊亭圓生 – 昭和の名人。江戸の風俗を丁寧に描きながら演じました。

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この噺の魅力と現代への示唆

「売り声」は江戸時代の商売人たちの知恵と工夫を伝える教養的な落語です。玉子売りの声の回数や大根の呼び方など、それぞれの売り声には深い理由があり、当時の商売人の創意工夫が感じられます。

「先々の時計になれや小商人」という言葉が示すように、売り声は庶民の生活リズムを刻む役割も担っていました。現代では消えてしまった風景ですが、この噺を通じて江戸の活気ある町の様子を想像することができます。最後の言葉遊びのオチも見事で、落語らしい洒落の効いた演目です。

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