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【古典落語】月並丁稚 あらすじ・オチ・解説 | おしりつねられ過ぎの丁稚が『月夜に釜抜く』と大言い違い!『そんなら鉄砲かしら』関西弁コメディ

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話芸の殿堂-古典落語-月並丁稚
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月並丁稚

3行でわかるあらすじ

こまっしゃくれた丁稚の定吉が、使いの口上を覚えずに十一屋へ行き、先方で思い出せなくなる。
いつも物忘れした時は尻をつねられると思い出すというので、番頭や関取がつねるが効かない。
大工の棟梁が釘抜きでひねると痛がって口上を思い出すが『月夜に釜抜く』と言い間違い『鉄砲かしら』と答える。

10行でわかるあらすじとオチ

こまっしゃくれた丁稚の定吉が、主人から十一屋への使いを頼まれる。
『本町の佐兵衛のところからまいりました。今月の28日に月並みの釜をかけます』という口上を教わるがなかなか覚えられない。
なんとか覚えて先方へ行くが、今度は口上を思い出せない。
いつも物忘れした時は台所のお竹さんに尻をつねってもらうと思い出すというので、番頭が尻をつねるが効かない。
相撲の関取が来て力一杯つねるが、定吉はくすぐったがっているだけで効果なし。
次に大工の棟梁が現れ、釘抜きで尻をひねるとさすがの定吉も痛がる。
すると口上が口から出てきて『当月28日には月夜に釜抜きます』と言い間違える。
十一屋が『当月28日は闇も闇、まことの闇じゃ』と指摘する。
定吉は『そんなら、うちの旦那の言うたんは鉄砲かしら』と答えて終わる。

解説

「月並丁稚」は、丁稚(弁当持ち)を主人公にした古典落語の丁稚噺で、記憶力の悪い丁稚のドタバタぶりと、言葉の取り違いから生まれる可笑さを描いた作品です。

「月並みの釜をかける」とは、江戸時代の信徒の集まりで、毎月一定の日に行われる茶事や句会のような集会を意味します。「月並み」は毎月定期的に行われること、「釜をかける」は茶釜でお湯を沸かすことで、茶事の準備を表します。

定吉の記憶の悪さと、尻をつねられると思い出すという奇異な設定がこの噺の核です。番頭や関取の力では効かないほど皮膚が硬くなっているという設定は、日常的にいかにいじめられているかを暗示し、同情を誘います。

オチの「鉄砲かしら」は関西弁で「でたらめ」を意味します。定吉は「月並みの釜をかける」を「月夜に釜抜く」と言い間違えますが、旧暦の28日は新月の日で真っ暗な闇夜です。この矛盾を指摘された定吉が「それなら主人の話はでたらめだ」と答えることで、元々の口上自体が間違っていたという落ちになっています。

この作品は、丁稚の教育やしつけ、旧暦の知識など、江戸時代の商家の日常を背景にした、教育的な一面も持つ温かいコメディです。

あらすじ

ちょっとこまっしゃくれた丁稚の定吉。
店の主人から「十一屋」へ使いを頼まれ、「本町の佐兵衛のところからまいりました。今月の28日に月並みの釜をかけますによって、旦那さんによろしく」という使いの口上を教わるがなかなか覚えられない。

それでもなんとか覚えて定吉は先方へ行ったが、今度は口上を思い出せない。
いつも物忘れをした時は、台所のお竹さんに尻をつねってもらうと思い出すというので、番頭が定吉の尻をつねるが、いつもひねられているので皮膚が硬くなっていて全然感ぜず思い出せない。

そこへ来たのが相撲の関取。
力一杯つねるが効果なく、定吉はくすぐたがっているだけだ。
関取は相撲の稽古で力が入らなくなるといけないと言って帰ってしまう。

次ぎに現れたのが大工の棟梁で、「旦さん、お早ようございます。 えらい賑やかですが、相撲ですか?」

十一屋 「いやいや相撲と違うがな。子どもしが "口上忘れた、尻ひねったら思い出す"ちゅうので今、うちの番頭、それから関取にも尻ひねってもろたけどまっことこたえんで、難儀してるとこじゃ」

棟梁 「旦さん、わたいにひとつ任しとくなはれ」、定吉にこちらを向くなと言って釘抜きで尻をひねる。
これにはさすがの定吉も痛がり、口上が口から出てきてしゃべり始める。

定吉 「わたくし本町の佐兵衛とっから参りましたんで。え~、当、当月28日には月夜に釜抜きますによって、よろしゅう」

十一屋 「なに、当月28日に月夜に釜抜く? 当月28日は闇も闇、まことの闇じゃ」

定吉 「そんなら、うちの旦那の言うたんは鉄砲かしら」


落語用語解説

  • 丁稚(でっち) – 商家に住み込みで働く年少の奉公人。見習いとして雑用から始める。
  • 月並み – 毎月定期的に行われる行事。月例の集まり。
  • 釜をかける – 茶事の準備をすること。茶釜でお湯を沸かすこと。
  • 十一屋 – 商家の屋号。「十一」は縁起の良い数字とされた。
  • 鉄砲 – 関西弁で「でたらめ」「嘘」の意味。
  • 闇(やみ) – 旧暦28日頃は新月で月が出ず真っ暗になる。

よくある質問(FAQ)

Q: オチの「鉄砲かしら」の意味は?
A: 関西弁で「鉄砲」は「でたらめ」という意味です。定吉は「月夜に釜抜く」と言い間違えましたが、旧暦28日は新月で真っ暗な闇夜です。月が出ない夜なのに「月夜」と言ったのは主人の話がでたらめだからだ、と解釈したのです。

Q: なぜ尻をつねると思い出すのですか?
A: 定吉は物忘れをするたびに台所のお竹さんに尻をつねられていたため、条件反射のように痛みで記憶が蘇るようになったのです。いかに日常的にいじめられているかを示す設定です。

Q: 「月並みの釜をかける」とはどういう意味ですか?
A: 毎月定期的に行われる茶事や句会などの集まりの準備をすることです。江戸時代の商人の社交行事の一つでした。

名演者による口演

  • 桂米朝(三代目) – 人間国宝。丁稚の可愛らしさを巧みに表現しました。
  • 笑福亭松鶴(六代目) – 上方落語の重鎮。定吉の間抜けさを愛嬌たっぷりに演じました。
  • 桂枝雀(二代目) – 爆笑王。尻をつねられる場面の大げさな演技が見事でした。

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この噺の魅力と現代への示唆

「月並丁稚」は、記憶力の悪い丁稚のドタバタと言葉の取り違いを描いた上方落語の傑作です。尻をつねられると思い出すという奇異な設定は、日常的にいじめられている丁稚の境遇を暗示しており、笑いの中に哀愁を感じさせます。

番頭では効かず、関取でも効かず、大工の棟梁が釘抜きでひねってやっと効くという展開は、いかに皮膚が硬くなっているかを示しています。最後の「鉄砲かしら」というオチは、言い間違いと旧暦の知識を組み合わせた巧みな言葉遊びです。

現代でも大事な用件を忘れてしまうことは珍しくありません。この噺は、記憶の不確かさと言葉の取り違いが生む滑稽さを、温かいユーモアで描いた作品です。

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