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【古典落語】蚤のかっぽれ あらすじ・オチ・解説 | 超現代版『あたま山』!蚤が踊る狂気の絶滅危機コメディ

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話芸の殿堂-古典落語-蚤のかっぽれ
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蚤のかっぽれ

3行でわかるあらすじ

蚤のピョン太がDDTで絶滅危機の中、久々に人間の血を吸って満腹で眠ってしまう。
男に捕まって命乞いでかっぽれを踊って逃げようとしたが、男の髪の中に落ちてしまう。
汚い髪の中で力尽きて死んだピョン太から芽が生え、大木に成長して『あたま山』の物語へ。

10行でわかるあらすじとオチ

蚤のピョン太はシングルマザーのハネ子と二人暮らしで、DDTなどで蚤一族は絶滅寸前。
育ち盛りのピョン太はなかなか人間の血にありつけず、犬猫・牛豚などの血で我慢している。
ある日、酔って帰ってそのまま畳に寝た男の腹の上で思う存分に血を吸う。
満腹で眠くなったピョン太は、男のメタボの腹でハンモックのように気持ちよく眠る。
男が目を覚まして起き上がると、ピョン太は畳にこぼれ落ちて捕まってしまう。
男は「人の断りもなく血を吸いやがって」と怒り、ピョン太をつぶそうとする。
ピョン太は命乞いで「かっぽれを踊ります」と言って、ピョンピョンと踊り始める。
隙を狙って男の後ろに高く飛んで逃げようとしたが、男の髪の中に入ってしまう。
男は「のみ逃げだ」と呑気に言ってまた寝てしまう。
ピョン太は汚い髪の中でもがいて死んでしまい、死骸から芽が生えて大木に成長する。

解説

『蚤のかっぽれ』は、古典落語『あたま山』を現代風にアレンジした新作落語です。元の『あたま山』は、ケチな男が桜を独占しようとして頭に山を作り、その中に池ができて自分が身投げするというナンセンスな展開が特徴的ですが、この作品では蚤が主人公となっています。

この作品の独特な点は、戦後DDTの使用による蚤の絶滅危機という現代の環境問題を織り込んでいることです。「アカイエカやヒアリと同様、目の敵にして徹底的に駆除する」という描写は、外来生物問題など現代の環境問題への言及でもあります。また「ノミ行為撲滅」という現代的な用語を織り込むなど、言葉遊びの要素も巧みに取り入れられています。

主人公のピョン太と母親のハネ子というキャラクター名は、蚤の特徴である「ピョンピョン跳ねる」動作から取られており、シングルマザーという現代的な家族形態も反映されています。「かっぽれ」は江戸時代の保政期に流行した踊りで、軽快なリズムで知られています。ピョン太がこの踊りで逃げようとするという設定は、蚤の動きとかっぽれのリズムを結びつけた絶妙なアイデアです。

オチの「のみ逃げ」は、「呑み逃げ」と「蚤(ノミ)」を掛けた言葉遊びで、男の呑気さと蚤の逃走を同時に表現した巧みな言い回しです。最終的にピョン太が死んで大木になるという結末は、元の『あたま山』の構造を踏襲しつつ、現代的な視点で再話した野心作としての魅力を持っています。

あらすじ

蚤のピョン太はシングルマザーのハネ子と二人暮らし。
蚤一族は戦後、DDTやらの化学兵器を散々にばらまかれ今や絶滅寸前。
絶滅危惧種にでも指定して保護すればいいものを人間どもは、見つけるとアカイエカやヒアリと同様、目の敵(かたき)にして徹底的に駆除する。

もう蚤という言葉さえ死語寸前で、「ノミ行為撲滅」なんてろくでもないことにしか使われなくなってしまった。
育ち盛りのピョン太だが、近頃はなかなか人間の血にありつけずに、犬猫・牛豚などの血を吸って我慢することもしばしばだ。

ある日ピョン太は、久しぶりに人間の血にありつく。
酔って帰って来てそのまま畳の上に寝てしっまた男の腹の上で思う存分に血を吸ったピョン太は、満腹で眠くなって腹の上で寝てしまった。
男のメタボの腹は波打って、ちょうど揺りかご、ハンモックのリズムで気持ち良く眠っていたが、しばらくして男は目をさました。

男が起き上がると同時に、ピョン太は畳の上にこぼれ落ちてしまった。
それを目ざとく見つけた男、「ふざけた蚤野郎だ。人の断りもなく生き血を吸いやがって」と、指でピョン太をつぶしにかかった」、逃げようと思っても血を吸い過ぎて動きが鈍いピョン太は、「どうかおじさん、勘弁してください」と謝るのみ。

男「おや、こいつは人間の言葉を喋るのか。
蚤は芸達者で”蚤のサーカス”なんてのもあると聞く。
お前も何か芸をやってみろ。
一流の芸だったら命だけは助けてやろう。これが血税というものだ」、「それじゃあ、かっぽれを踊ります」と、男の目の前でピョンピョンと踊り始め、隙を狙って男の後ろに高く飛んで逃げ出そうとしたピョン太だが、男の頭を越せずに男のぼさぼさの髪の中入ってしまった。
目の前から見えなくなった蚤に、男は「血ばかり吸いやがって、これが本当の”のみ逃げ”だ、なんて呑気でまた寝てしまった。

ろくにフロにも入っていない男の髪の中は汗と油でべとついて、悪臭を放っているヘドロのジャングルだ。
何度も脱出を試みるピョン太だが、もがけばもがくほど底なし沼にはまって行くようで、あえなく力尽きて死んでしまった。

そんなことはお構いなし、知る由もない男はそのまま放っておいた。
しばらくすると頭の中のピョン太の死骸から芽が出て来て、あっという間に大木の「蚤の木」となってしまった。
ここから先、男は『あたま山』の運命をたどることになる。

落語用語解説

この噺に登場する落語ならではの用語を解説します。

  1. 新作落語(しんさくらくご) – 現代の作家や演者が創作した落語。古典落語にはない現代的なテーマや表現が特徴。
  2. 地口(じぐち) – 言葉遊びの一種。音が似た言葉を掛け合わせて落ちをつける技法。「のみ逃げ」など。
  3. かっぽれ – 江戸時代から伝わる陽気な踊り。「ちゃらちゃらっちゃら」のリズムで知られる。
  4. あたま山 – この噺の元ネタとなる古典落語。頭に桜が咲いて花見客が来る不条理な話。
  5. DDT(ディーディーティー) – かつて使用された殺虫剤。現代では使用禁止だが、昭和の象徴として登場。
  6. 絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ) – 生息数が減少し絶滅の危険がある生物。蚤の設定に使用。
  7. 人情噺(にんじょうばなし) – 人間の情愛を描く落語のジャンル。母子の別れがこれに該当。
  8. 不条理噺(ふじょうりばなし) – 現実にはあり得ない展開を楽しむ落語。頭に木が生えるなど。
  9. パロディ落語 – 古典落語を下敷きに新しい解釈で作り直した作品。本作とあたま山の関係。
  10. 環境問題 – 新作落語で扱われる現代的テーマの一つ。DDTや生態系破壊を描く。
  11. 社会風刺 – 落語の重要な機能。現代社会の問題を笑いで批判する手法。
  12. 呑み逃げ(のみにげ) – 飲食代を払わず逃げること。「蚤逃げ」との掛詞でオチになる。

よくある質問(FAQ)

Q1: この噺は古典落語ですか?

A: いいえ、これは「あたま山」という古典落語を下敷きにした新作落語です。DDTや絶滅危惧種など現代的なテーマを取り入れつつ、古典のエッセンスを活かした作品となっています。

Q2: 「あたま山」との関連は?

A: オチの構造が共通しています。あたま山では頭に桜が咲き、本作では蚤の死骸から木が生えます。不条理な展開で笑いを取る点も同じです。元ネタを知っているとより深く楽しめます。

Q3: DDTとは何ですか?

A: かつて広く使用された殺虫剤で、第二次世界大戦後の日本でも使われました。強力な効果がある反面、環境や健康への影響が問題視され、現在は使用禁止となっています。昭和の象徴として登場します。

Q4: 「のみ逃げ」のオチはどういう意味?

A: 「呑み逃げ」(飲食代を払わず逃げること)と「蚤(ノミ)逃げ」を掛けた言葉遊びです。蚤が人間の血を吸って逃げようとする様子を、居酒屋での呑み逃げに重ねたユーモアになっています。

Q5: なぜ蚤が主人公なのですか?

A: DDTによって実際に蚤が激減したという歴史的事実を踏まえ、絶滅危惧種という現代的テーマを落語に取り入れるためです。小さな生き物の視点から環境問題を描く試みとなっています。

Q6: かっぽれとは何ですか?

A: 江戸時代から伝わる陽気な踊りで、「ちゃらちゃらっちゃら」というリズムが特徴です。祝い事や宴会などで踊られました。蚤が必死に踊る様子がユーモラスに描かれています。

名演者による口演

この噺は新作落語のため、古典落語のような定番の演者はいませんが、新作落語を得意とする演者や「あたま山」の名演として以下が知られています。

  1. 立川談志 – 新作落語の創作にも積極的で、不条理な笑いを得意とした。「あたま山」の名演でも知られる。
  2. 古今亭志ん朝 – 古典の「あたま山」を得意とし、軽妙な語り口で不条理な世界を表現した。
  3. 柳家小三治 – 現代的な感覚を持ちながらも古典の心を大切にする演者。環境問題への関心も高い。
  4. 春風亭一之輔 – 新作落語も手がける現代の人気演者。社会風刺を効かせた作品を得意とする。
  5. 立川志の輔 – 新作落語の名手。現代社会をテーマにした作品を多数創作している。

関連する落語演目

この噺に関連する演目をご紹介します。

  1. あたま山 – 本作の元ネタとなった古典落語。頭にさくらんぼの種を植えたら桜が咲いてしまう不条理噺。
  2. 時そば – 江戸の庶民生活を描いた古典の名作。数の数え方の機知が光る。
  3. 文七元結 – 貧しい人々の人情を描いた名作。母子の情愛という点で共通する。
  4. 粗忽長屋 – 不条理な笑いを楽しむ古典落語。死体と生きている人の混同が面白い。
  5. 目黒のさんま – 殿様の世間知らずを描いた噺。庶民の視点からの笑いという点で通じる。

この噺の魅力と現代への示唆

「蚤のかっぽれ」は、古典落語「あたま山」の不条理な世界観を現代的なテーマで再構築した意欲作です。

絶滅危惧種となった蚤という設定は、DDTに象徴される人間中心の環境破壊への痛烈な皮肉となっています。「害虫」として駆除される側の視点から物語を描くことで、私たちの傲慢さを笑いとともに突きつけます。

母蚤ハネ子とピョン太の別れには人情噺の要素もあり、小さな命の尊厳を感じさせます。「血ぃ吸うて大きくなりや」という母の言葉は、どんな生き物にも生きる権利があるというメッセージでしょう。

かっぽれを踊って逃げようとする場面は、古典落語の軽妙さそのもの。しかし最後には人間の不潔な頭髪に阻まれて死んでしまうという皮肉な展開が、現代社会の矛盾を浮き彫りにします。

「のみ逃げ」という地口のオチも秀逸で、古典的な言葉遊びの技法を踏襲しながら、新しい笑いを生み出しています。

環境問題や生態系破壊という重いテーマを、落語ならではのユーモアで包み込んだ作品といえるでしょう。

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