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猫の皿 落語|あらすじ・オチ「猫が3両で売れる」意味を完全解説

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話芸の殿堂-古典落語-猫の皿
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猫の皿 落語|あらすじ・オチ「猫が3両で売れる」意味を完全解説

猫の皿(ねこのさら) は、道具屋が茶店で高価な高麗茶碗を猫の餌皿に使っているのを発見し、騙そうとするが逆に騙される古典落語。「この茶碗で猫に飯を食わせると、ときどき猫が3両で売れる」という逆転のオチが痛快な名作です。

項目内容
演目名猫の皿(ねこのさら)
ジャンル古典落語
主人公道具屋
舞台田舎の茶店
オチ「この茶碗で猫に飯を食わせると、ときどき猫が3両で売れる」
見どころ騙し合いの逆転劇、高麗茶碗300両

3行でわかるあらすじ

道具屋が茶店で高価な高麗茶碗を猫の餌皿に使っているのを発見する。
猫を3両で買って茶碗も安く手に入れようと企むが、店主は茶碗の価値を知っていた。
「この茶碗で猫に飯を食わせると、ときどき猫が3両で売れる」というオチで終わる。

10行でわかるあらすじとオチ

江戸の道具屋が田舎への仕入れ旅行から帰る途中、茶店で一息つく。
縁台の下で猫が飯を食べている皿が、高麗の梅鉢茶碗で300両の代物だと気づく。
店主が価値を知らないと思い、茶碗を安く手に入れるための作戦を立てる。
猫好きを装い、大袈裂に猫を可愛がって「3両で譲って欲しい」と申し出る。
店主は了承し、道具屋は猫を3両で買い取ることに成功する。
猫には食べ慣れた皿が必要だと言って、茶碗もタダでもらおうとする。
しかし店主は「これは高麗の梅鉢茶碗で300両もする」と価値を知っていた。
計画失敗で猫に引っかかれ、小便をかけられた道具屋が怒る。
「なぜそんな高価な茶碗で猫に飯を食わせるのか」と詰問する。
店主は「その茶碗で猫に飯を食わせると、ときどき猫が3両で売れる」とオチをつける。

解説

「猫の皿」は、オチに力点が置かれた珍しいタイプの古典落語です。元々は「猫の茶碗」という題名でしたが、古今亭志ん生が「猫の皿」で演じてからこの題名が一般的になりました。

作中に登場する「絵高麗の梅鉢茶碗」は300両(現在の約3000万円)という途方もない価値がある品として描かれています。高麗茶碗は朝鮮半島で作られた茶碗で、茶の湯の世界では非常に珍重されていました。

この噺の面白さは、騙し合いの逆転構造にあります。道具屋は茶店の主人を「無知な田舎者」と侮って騙そうとしますが、実は主人の方が一枚上手の策士だったという展開です。「高価な茶碗をエサに使う」というフックで客を釣り、定期的に「猫」を売って商売をしていたというオチは、現代の商法にも通じる巧妙さがあります。

明治期の設定で演じられることもあり、四代目橘家円喬は彰義隊の戦いから逃げてきた人物として茶屋の主人を設定し、古今亭志ん生は幕末の設定で武士の困窮を背景にした演出をしています。動物が登場し、怖いシーンもなく、子どもと一緒に楽しみやすい落語としても知られています。

あらすじ

江戸の道具屋が田舎に掘り出し物を探しに出かけた。
たいした収穫もなく江戸へ戻る途中の茶店で休みをとる。
のどかな風景を眺めながら、麦茶にとうもろこしなんかを食べていると、縁台の下で猫が飯を食べているのに気づく。
よく見ると猫の皿が、高麗の梅鉢茶椀で300両は下らない代物だ。

茶店の爺さんは知らずに猫の皿にしていると思い、なんとか梅鉢茶椀を巻き上げてやろうと、道具屋は、”将を射んと欲すれば先ず猫?を射よ”と、好きでもないのに猫好きを装って膝に上げ抱いてあやしたり、ふところにも入れての猫可愛がりで、この猫がたいそう気に入ったようにふるまう。

茶店の爺さんに頼んで道具屋はこの猫を3両で買い上げた。
さらに猫に飯を食わせるには食べなれた皿がいいと言って、目当ての茶椀をもらおうする。

茶店に爺さんはこの茶椀は気に入っているので手放せないといい、木のお椀を渡そうとする。
道具屋は、それなら茶椀も3両で買い上げようと持ちかける。

すると茶店の爺さんはこの茶椀は高麗の梅鉢茶椀といって捨て値でも300両もする高価なものだからだめだという。

道具屋は計画が失敗し、ふところに入れた猫に引っ掛かれ、小便もされるはでさんざんの有様だ。

道具屋 「なんでそんな結構な茶椀でもって猫に飯食わせたりなんかすんだい」

茶店の爺さん 「その茶椀で猫に飯食べさせていますと、ときどき猫が3両に売れますんで」

落語用語解説

猫の皿(ねこのさら)

この噺のタイトルで、猫の餌を入れる皿のこと。実は高価な高麗茶碗を使っていたという設定です。元々は「猫の茶碗」という題名でしたが、古今亭志ん生が「猫の皿」で演じてから定着しました。

道具屋(どうぐや)

古道具や骨董品を扱う商人のこと。この噺では、掘り出し物を求めて田舎を巡る江戸の道具屋が主人公です。目利きの知識で田舎の人から安く買い叩こうとする商売人気質が描かれています。

高麗の梅鉢茶碗(こうらいのうめばちちゃわん)

朝鮮半島で作られた茶碗で、茶の湯の世界では非常に珍重される名品。梅の花びらのような模様が特徴です。この噺では300両(現在の約3000万円)という途方もない価値がある品として登場します。

三両(さんりょう)

江戸時代の通貨単位。1両は現在の約10万円程度の価値とされ、3両なら約30万円です。道具屋はこの金額で猫を買い取り、300両の茶碗を無料で手に入れようと企みます。

将を射んと欲すれば先ず馬を射よ

「将軍を狙うなら、まず馬を射て動けなくせよ」という中国の兵法に由来する言葉。道具屋は茶碗(将)を手に入れるために、まず猫(馬)を手に入れようとします。噺中では「猫」に置き換えた言葉遊びになっています。

猫可愛がり(ねこかわいがり)

本来は猫を可愛がるように溺愛することですが、この噺では道具屋が猫好きを装って大袈裟に愛情表現をする演技を指します。膝に乗せたり懐に入れたりする様子が描かれます。

掘り出し物(ほりだしもの)

埋もれていた良品や、価値が知られていない品物を発見し、安く手に入れること。道具屋の商売の醍醐味で、田舎を巡って価値を知らない人から名品を安く買い取ることを狙います。

田舎(いなか)

江戸から離れた地方のこと。この噺では、田舎の人は骨董の価値が分からないという江戸っ子の偏見が前提になっています。しかし実際には茶店の主人の方が一枚上手でした。

縁台(えんだい)

店先に置かれた板張りの台で、客が腰掛けて休憩する場所。江戸時代の茶店では定番の設備で、のどかな風景を眺めながらくつろぐことができます。

麦茶(むぎちゃ)

大麦を焙煎して作る飲み物で、江戸時代から庶民に親しまれた夏の定番飲料。茶店で提供される代表的なメニューです。

引っ掛かれる

猫に爪で引っかかれること。懐に入れた猫に引っかかれ、小便までかけられた道具屋の惨めな姿が描かれます。計画が失敗した上に身体的被害も受ける始末です。

捨て値(すてね)

本来の価値よりも格段に安い値段のこと。茶店の主人は「捨て値でも300両」と言い、茶碗の価値を十分に知っていることを明かします。

よくある質問 FAQ

Q1: なぜ茶店の主人は高価な茶碗を猫の餌皿に使っていたのですか?

A: 茶店の主人は計算ずくで行っていました。高価な茶碗を猫の餌皿に使うことで、目利きの道具屋が「無知な田舎者から騙し取れる」と思い込んで猫を高値で買い取ることを狙っていたのです。オチで「この茶碗で猫に飯を食わせると、ときどき猫が3両で売れる」と明かされるように、猫を売る商売の「エサ」として茶碗を使っていたわけです。

Q2: 道具屋はなぜ猫を買おうと思ったのですか?

A: 道具屋は茶碗を無料で手に入れるための口実として猫を買おうとしました。いきなり茶碗を安く売ってくれとは言えないため、まず猫を買い、その後「猫には食べ慣れた皿が必要」という理由で茶碗もタダでもらおうと計画したのです。「将を射んと欲すれば先ず馬(猫)を射よ」という作戦でした。

Q3: 3両という金額は高いのですか、安いのですか?

A: 当時の猫の相場から考えると、3両(約30万円)は非常に高額です。普通の猫なら数百文から1両程度で十分でしょう。道具屋は300両の茶碗を手に入れるためなら3両は安いと考えましたが、茶店の主人からすれば定期的に「猫を売る」ビジネスとして十分に儲かる金額だったのです。

Q4: この噺で描かれている騙し合いの構造はどうなっていますか?

A: 道具屋は「田舎の無知な主人を騙して安く茶碗を手に入れよう」と企み、茶店の主人は「江戸の目利きを騙して定期的に猫を高値で売ろう」と企んでいます。結果的に主人の方が一枚上手で、道具屋は猫を高値で買わされた上に引っかかれて小便までかけられるという完敗でした。騙そうとした者が騙されるという、皮肉な結末です。

Q5: なぜ古今亭志ん生は題名を「猫の皿」に変えたのですか?

A: 元々は「猫の茶碗」という題名でしたが、志ん生は「皿」という言葉の方が庶民的で親しみやすいと考えたとされています。また「茶碗」だと茶の湯の格式高いイメージがありますが、「皿」なら猫の餌入れとしての日常感が出て、主人の策略がより際立つという演出効果もあったのでしょう。

Q6: この噺の教訓は何でしょうか?

A: 「人を侮って騙そうとすれば、自分が騙される」という教訓が込められています。道具屋は田舎の主人を無知だと決めつけて騙そうとしましたが、実は主人の方が遥かに狡猾でした。人を見かけで判断せず、油断しないことの大切さを、ユーモラスに教えてくれる噺です。また、欲をかきすぎると痛い目に遭うという戒めも含まれています。

名演者による口演

古今亭志ん生(ここんていしんしょう)

志ん生の「猫の皿」は、題名を「猫の茶碗」から改めて定着させた功績で知られています。道具屋の欲深い性格と、茶店の主人の飄々とした策士ぶりの対比が見事で、オチの「ときどき猫が3両で売れる」という台詞の間が絶妙でした。幕末の武士の困窮を背景にした演出も志ん生ならではの工夫です。

三遊亭円生(さんゆうていえんしょう)

六代目円生の演じる「猫の皿」は、道具屋の目利きとしての自信と、計画が失敗したときの落胆の表情が繊細に描かれます。茶店の主人は上品な老人として演じられ、最後のオチも嫌味なく語られることで、騙し合いでありながら後味の良い仕上がりになっています。

桂米朝(かつらべいちょう)

米朝師匠の「猫の皿」は、上方落語らしい丁寧な状況描写が特徴です。田舎の茶店ののどかな雰囲気、猫の仕草、道具屋の心理描写など、細部まで丁寧に語られます。オチも関西弁で語られることで、江戸落語とは一味違った味わいがあります。

立川談志(たてかわだんし)

談志の「猫の皿」は、道具屋の計算高さと傲慢さを強調した演出が特徴です。「田舎者を騙してやろう」という下心が露骨に表現され、それが見事に裏切られる痛快さが際立ちます。猫に引っかかれて小便をかけられる場面も大袈裟に演じられ、笑いを誘います。

柳家小三治(やなぎやこさんじ)

小三治師匠の「猫の皿」は、登場人物たちの心理の綾を丁寧に描きます。道具屋が茶碗を見つけた瞬間の高揚感、猫好きを装う演技の不自然さ、そして計画が失敗した時の虚脱感など、感情の起伏が繊細に表現されます。茶店の主人の飄々とした語り口も印象的です。

関連する落語演目

時そば

「猫の皿」と同様に、騙しの技術を扱った噺です。蕎麦屋の勘定をごまかす客の話で、知恵と話術で相手を出し抜く面白さが共通しています。ただし「時そば」は騙す側が成功するのに対し、「猫の皿」は騙そうとした側が逆に騙されるという対照的な結末です。

道具屋

道具屋が主人公という点で「猫の皿」と共通するテーマの噺です。骨董品や古道具を扱う商売人の目利きと商売根性が描かれ、掘り出し物を巡る駆け引きが面白さの中心になっています。道具屋という職業の特徴がよく分かる噺です。

井戸の茶碗

茶碗を巡る人情噺で、正直者が正直な商売をして最終的に報われる物語です。「猫の皿」が騙し合いの噺であるのに対し、「井戸の茶碗」は誠実さを称賛する噺として対照的な内容になっています。どちらも高価な茶碗が重要な役割を果たします。

権助提灯

田舎者と江戸っ子の知恵比べという構造が「猫の皿」と似ています。田舎から出てきた権助が、江戸の提灯屋に騙されそうになりながらも最後には逆転するという展開で、見かけで人を判断してはいけないという教訓も共通しています。

この噺の魅力と現代への示唆

「猫の皿」の最大の魅力は、騙し合いの逆転構造にあります。道具屋は自分の目利きの知識を過信し、田舎の茶店の主人を「無知な田舎者」と侮って騙そうとしますが、実は主人の方が遥かに策士だったという痛快な展開です。

この噺が現代にも通じるのは、人を見かけや先入観で判断する危険性を教えてくれる点です。道具屋は「田舎=無知」という偏見を持っていましたが、実際には主人は江戸の目利きを定期的に騙すほどの商売人でした。現代のビジネスシーンでも、相手を侮ったり油断したりすると痛い目に遭うという教訓は変わりません。

また、「高価な茶碗を猫の餌皿にする」という一見不合理な行動が、実は「猫を高値で売る」という合理的なビジネスモデルだったという発想の転換も見事です。これは現代のマーケティングにおける「フリーミアム」や「フック商品」の考え方に通じるものがあります。

茶店の主人の商法は、言わば「おとり商法」や「餌で釣る」戦略です。高価な茶碗という餌で道具屋を釣り、定期的に猫を売るという仕組みは、現代の消費者心理を巧みに利用したビジネスの原型とも言えるでしょう。

さらに、この噺は「欲をかきすぎると失敗する」という普遍的な教訓も含んでいます。道具屋は茶碗を無料で手に入れようと欲張った結果、猫を高値で買わされた上に引っかかれて小便までかけられました。適度な欲は商売の原動力ですが、度を超した欲は自分を破滅させることを、ユーモラスに教えてくれる噺なのです。

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