【AI落語】5Gテレパシー恋人(新作落語)
5G通信が発達して、超高速通信ができる時代になりました。
そのうちテレパシーみたいなことも可能になるかもしれませんが、もしカップル同士で心が通じ合うシステムがあったらどうなるでしょうか。
まくら
昔の恋人同士は、手紙でやり取りして、会えない時間が恋を育てたもんですが、今度は心の中まで筒抜けになるっていうんですから、恋愛も変わりそうですな。
本編
IT企業で働く田中(28歳)と、同じ会社のデザイナー佐藤(26歳)は付き合って2年のカップル。
新しい「5Gテレパシー・システム」のベータテスターに選ばれました。
開発者「脳波を5G回線で送信して、相手の考えを受信できます」
田中「テレパシー?本当に?」
開発者「専用デバイスを装着すれば、思考を共有できます」
佐藤「面白そう!私たち、心の声でコミュニケーションできるのね」
田中「遠距離でも心は繋がってるってことか」
開発者「はい。24時間365日、いつでもテレパシー通信可能です」
テレパシー開始
小型チップを頭に装着して、テレパシー通信開始。
田中『(心の声)佐藤、聞こえる?』
佐藤『(心の声)聞こえるよ!不思議な感じ』
田中『(心の声)これなら会議中でも会話できるね』
佐藤『(心の声)でも集中できるかな…』
会議中、
田中『(心の声)課長の話、つまらないな』
佐藤『(心の声)シー!バレたら大変よ』
でも、心の声なので周りには聞こえない。
田中『(心の声)便利だな』
プライバシーの問題
便利だったテレパシーですが、だんだん問題が発生。
田中『(心の声)今日の昼飯何にしよう…コンビニ弁当でいいか』
佐藤『(心の声)またコンビニ弁当?体に悪いよ』
田中『(心の声)え?聞こえてたの?』
佐藤『(心の声)当然でしょ。24時間接続中なんだから』
田中『(心の声)常に監視状態ってことか…』
佐藤『(心の声)監視じゃなくて共有よ』
田中『(心の声)でも一人の時間が欲しい時もあるし』
佐藤『(心の声)そう?私はいつも一緒にいる感じで嬉しいけど』
男性の本音
男性特有の本音が筒抜けになって困る田中。
電車で綺麗な女性を見かけた時、
田中『(心の声)綺麗な人だな…』
佐藤『(心の声)今、他の女性見てたでしょ!』
田中『(心の声)え?いや、これは…』
佐藤『(心の声)心の浮気よ!』
田中『(心の声)見ただけで浮気?男性は本能的に…』
佐藤『(心の声)言い訳しないで!』
テレパシー喧嘩が始まる。
田中『(心の声)うるさいなぁ…』
佐藤『(心の声)うるさいって言った!』
田中『(心の声)あ、聞こえてた…』
女性の本音
今度は佐藤の本音も筒抜け。
ショッピング中、
佐藤『(心の声)この服可愛い…でも高いな…田中におねだりしようかな』
田中『(心の声)計算してるじゃん』
佐藤『(心の声)え?心の声が聞こえてた?』
田中『(心の声)戦略的だったんだ』
佐藤『(心の声)これは作戦よ。女性にはテクニックが必要なの』
田中『(心の声)腹黒い…』
佐藤『(心の声)腹黒いって言った!』
お互いの本性がバレバレ。
システム暴走
ある日、5Gシステムが暴走して、周りの人の心も読めるようになった。
電車の中で、
おじさん『(心の声)会社辞めたい…』
OL『(心の声)彼氏できないかな…』
学生『(心の声)テスト勉強してない…』
田中『(心の声)みんなの心の声が聞こえる』
佐藤『(心の声)プライバシーの問題よ』
田中『(心の声)でも面白い…』
佐藤『(心の声)人の心を覗き見するのは良くない』
田中『(心の声)君も興味深そうに聞いてるじゃん』
佐藤『(心の声)…確かに』
テレパシー中毒
だんだんテレパシーなしでは生活できなくなる2人。
田中『(心の声)もう声に出して話すのがめんどくさい』
佐藤『(心の声)心の会話の方が楽よね』
実際に会って食事している時も、無言でテレパシーで会話。
周りの人「あのカップル、全然話してない」
周りの人「喧嘩してるのかな?」
でも、テレパシーでは楽しく会話している。
田中『(心の声)周りの人が心配してる』
佐藤『(心の声)説明できないしね』
田中『(心の声)テレパシーカップルって言ったら信じてもらえるかな』
佐藤『(心の声)変人だと思われるわ』
システム停止
ある日、メンテナンスでシステムが停止。
田中「あれ?心の声が聞こえない」
佐藤「本当だ。声に出さないと伝わらない」
田中「なんか寂しいね」
佐藤「一体感がなくなった感じ」
でも、久しぶりの普通の会話を楽しむ2人。
田中「そういえば、声に出して話すのも悪くないね」
佐藤「表情も見えるし」
田中「テレパシーだと顔を見なくなってたな」
佐藤「確かに。目を見て話すって大事よね」
バランスの発見
システム復旧後、使い方を工夫することに。
田中「24時間接続じゃなくて、時間を決めよう」
佐藤「そうね。朝夕だけとか」
田中「デートの時は切る」
佐藤「直接話す時間も大切よね」
新しいルール:
– 午前中はテレパシーON
– 午後はテレパシーOFF
– デート中は必ずOFF
– 緊急時のみ24時間ON
田中「これならバランスが取れる」
佐藤「プライバシーも保てるし」
1年後
テレパシーシステムを使い始めて1年後。
佐藤「慣れたわね」
田中「使い分けできるようになった」
佐藤「でも、一番大事なのは気持ちよね」
田中「技術は道具であって、愛情は別もの」
佐藤「心を読めることより、心を理解したいと思うことが大切」
田中「深い話だな」
開発者も満足。
開発者「良い使用例ですね」
田中「技術と人間関係のバランスが大事だと学びました」
開発者「それが一番の収穫です」
オチ
ある日、システムの不具合で、田中の心の声が全世界に配信されてしまった。
田中『(心の声)今日はプロポーズしよう…指輪も買ったし』
世界中の人「「「プロポーズ!?」」」
佐藤「え?プロポーズ?」
田中「あ、あれ?みんなに聞こえてる?」
開発者「システムエラーで全世界配信されました」
世界中からメッセージが。
『頑張れ!』『応援してる!』『Yes と言え!』
佐藤「世界中が応援してるわよ」
田中「恥ずかしいけど…」
ひざまずいて指輪を差し出す田中。
田中「佐藤さん、結婚してください」
佐藤「Yes!」
世界中「「「やったー!」」」
拍手とお祝いメッセージが殺到。
佐藤「世界規模のプロポーズなんて初めてよ」
田中「システムエラーに感謝だな」
開発者「結果的に最高のテストになりました」
でも、最後に佐藤が一言。
佐藤「でも、ハネムーン中はシステムOFFにしてね」
田中「当然だよ」
世界中の人「「「そらそうだ」」」
開発者「プライバシー設定を強化します」
でも、実はもう一つのシステムエラーが。
システム『田中さんの本音:早くハネムーン行きたいな…』
新妻佐藤「田中!」
新夫田中「またシステムエラーか!」
世界中「「「頑張れー」」」
開発者「完璧なシステムはないってことですね」
新夫婦「「人間らしくて良いじゃない」」
まとめ
というわけで、どんなに技術が進歩しても、コミュニケーションの基本は変わらないという話でした。
心を読める技術があっても、相手を思いやる気持ちがあってこそ良い関係が築けるということですね。
ただし、世界配信プロポーズは、緊張しすぎて失敗する可能性もありそうですが。


